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2021/10/28

「大学×国研×企業連携によるトップランナー育成プログラム」に参加します

 情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所は、筑波大学が主宰する「大学×国研×企業連携によるトップランナー育成プログラム」に共同実施機関として参加し、科学英語教育プログラム「遺伝研メソッド」を通じて次世代を担う「トランスボーダー型研究者」の育成を図ります。「大学×国研×企業連携によるトップランナー育成プログラム」は令和3年度「世界で活躍できる研究者戦略育成事業(文部科学省)」事業の一環として実施されます。  
 

~花岡文雄所長のコメント~

 本事業に参画でき誠に光栄に存じます。弊所は,独自に開発した科学英語教育プログラム「遺伝研メソッド」を通じて筑波大が目指す「世界と繋がるトランスボーダー研究者」の育成に尽力して参ります。

詳細につきましては 筑波大学ウェブサイト をご覧ください。


プレスリリース資料

2021/10/27

MESP1とMESP2の量が中胚葉形成を決める

相賀研究室・発生工学研究室

Formal proof of the requirement of MESP1 and MESP2 in mesoderm specification and their transcriptional control via specific enhancers in mice

Rieko Ajima, Yuko Sakakibara, Noriko Sakurai-Yamatani, Masafumi Muraoka and Yumiko Saga

Development (2021) 148, dev194613 DOI:10.1242/dev.194613

哺乳類の初期発生過程において、中胚葉形成は非常に重要なステップで、原腸陥入によって外胚葉と内胚葉の間に形成されます(図A)。中胚葉からは心臓・腎臓・四肢・筋肉・骨格などが作られます。Mesp1/2遺伝子は同一染色体上に隣り合ってあり、マウス原腸胚の中胚葉細胞(図B)と体節形成期の新規体節形成境界(図C)に発現するという共通した発現パターンを示し、両遺伝子の欠損は中胚葉形成異常を引き起こします。一方Mesp1 KOマウスが心臓形態異常、Mesp2 KOマウスが体節形成異常と異なる表現型を示すことから、MESP1/2は異なる標的を制御すると考えられていました。

発生工学研究室の安島理恵子助教と相賀裕美子教授が、ゲノム変異マウス開発支援部門の協力のもと行った本研究(図D)では、CRISPR/Cas9ゲノム編集技術を用いMesp1/2遺伝子変異マウスを作製・解析したところ、中胚葉細胞においてMESP1/2はお互いの発現を相補し、かつ共通した標的遺伝子を制御していることを示しました。さらに、以前作成されたMesp1 KOマウスで見られた心臓形態の異常はMesp1 locusに挿入されたPGK-neoが隣接するMesp2の相補的な発現上昇を阻害したことが原因であったこと、Mesp1/2遺伝子に共通したエンハンサーを欠損させるとMesp1/2遺伝子が共に発現低下し、心臓形態異常を示すことから、MESP1/2両タンパク質を合わせた量が初期中胚葉の分化誘導に重要であることを明らかにしました。

本研究成果は、国際科学紙Developmentに10月22日付けのオンライン版で掲載されました。

Figure1
図:(A) 原腸胚における中胚葉形成。 (B,C) 原腸胚と体節形成期のMesp1/2の発現パターン。 (D) 各遺伝子変異マウスにおけるMesp1/2の発現と表現型。○は共通エンハンサーを示す。
2021/10/25

メタゲノムからウイルスゲノムを洗い出せ!
~細胞の免疫記憶を使ったウイルスゲノムの網羅的検出~

Figure1

Comprehensive discovery of CRISPR-targeted terminally redundant sequences in the human gut metagenome: viruses, plasmids, and more

R. Sugimoto, L. Nishimura, P. T. Nguyen, J. Ito, N. F. Parrish, H. Mori, K. Kurokawa, H. Nakaoka, I. Inoue

PLOS Computational Biology (2021) 17, e1009428 DOI:10.1371/journal.pcbi.1009428

プレスリリース資料

ウイルスの進化と起源を知るには地球上に存在する膨大かつ多様なウイルスゲノムを網羅的に収集する必要があります。近年「メタゲノム解析」を利用したウイルスゲノムの「発掘」が活発におこなわれています。メタゲノムには細胞とウイルスの遺伝情報が混在していて、ここからウイルスゲノムを洗い出す必要があります。しかしながら、今までの方法では既知のウイルスに類似するウイルスにのみ注目しており、ウイルス全体の多様性を捉えるには不十分でした。

情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所の杉本竜太研究員、井ノ上逸朗教授と東京大学、理化学研究所、佐々木研究所の共同研究グループは、原核生物の「免疫記憶(CRISPR)」を利用してメタゲノムデータからウイルスのゲノム情報を検出する方法を開発しました(図1)。この方法は、既知のウイルスのゲノム情報に依存しないでメタゲノムからウイルス由来と思われる配列を網羅的に検出し、さらにその宿主の推定を可能にします。この方法によってヒト腸内メタゲノムから未知の配列を含む多様なウイルスのゲノム情報を検出することに成功しました。

今後は広範なサンプルに本方法を適用し、地球上に存在するウイルスの網羅的データベースを構築することでウイルスの進化と起源を知るための基盤を構築していきます。

本研究は、情報システム研究機構の未来投資型プロジェクト及び、日本学術振興会の科研費挑戦的研究(萌芽)(20K21405)の支援を受けておこなわれました。

本研究成果は、米国科学雑誌「PLOS Computational Biology」に2021年10月22日(日本時間)に掲載されました。

Figure1
図: CRISPRを使ったウイルスゲノムの検出法
2021/10/25

システム神経科学研究室 松田光司研究員が第27回小型魚類研究会ポスター賞を受賞

松田研究員:ゼブラフィッシュに囲まれて
松田研究員:ゼブラフィッシュに囲まれて

 システム神経科学研究室 松田光司 研究員が、第27回 小型魚類研究会に於いてポスター発表を行い、ポスター賞を受賞しました。

 第27回小型魚類研究会は当初オンラインとオンサイトのハイブリット方式を検討されておりましたが、今般の事情を鑑み、オンライン形式での開催となりました。


受賞ポスタータイトル:

Single cell RNA-seq analysis of functionally labelled optic flow-responsive neurons in the zebrafish pretectum

授賞日:2021年9月17日

第27回 小型魚類研究会

久保研究室・システム神経科学研究室


2021/10/25

前島研究室 総研大生・飯田さんが第61回生物物理若手の会で学生優秀発表賞を受賞

賞状を手に微笑む飯田さん
賞状を手に微笑む飯田さん

 前島研究室 飯田史織さん (総研大遺伝学専攻D2) が、先日オンラインで開催された第61回生物物理若手の会・夏の学校でポスター発表をおこない、学生優秀発表賞を受賞しました。


学会HP:第61回生物物理若手の会・夏の学校

受賞ポスタータイトル:

 コヒーシンによるクロマチンループ形成は局所的なクロマチンの動きを抑制する

ゲノムダイナミクス研究室 前島研究室


2021/10/25

ショウジョウバエが持つユニークな性染色体を用いて性染色体進化に関する共通のメカニズムを発見

プレスリリース

Shared evolutionary trajectories of three independent neo-sex chromosomes in Drosophila

Nozawa M, Minakuchi Y, Satomura K, Kondo S, Toyoda A, Tamura K.

Genome Research 2021 Oct 21 DOI:10.1101/gr.275503.121

プレスリリース資料

性染色体は多くの生物に存在する代表的な性決定機構のひとつです。性染色体は、もともとは常染色体に由来し、常染色体が性決定遺伝子を獲得することで性染色体になると考えられています。このようにして性染色体が生じると、X染色体とY染色体は減数分裂組換えを行わなくなり、その結果、Y染色体は多くの遺伝子を失い退化します。すると、オスはX染色体を1本しか持たないのに対し、メスはX染色体を2本持つという不均衡が生じるため、多くの生物は遺伝子量補償とよばれるメカニズムによってその不均衡を解消しています。しかし、性染色体が誕生したあと、どのようにして遺伝子量補償が発達するのかについては未解明な点が多く残されていました。

東京都立大学大学院理学研究科生命科学専攻の野澤昌文准教授、田村浩一郎教授らは、情報・システム研究機構国立遺伝学研究所の豊田敦特任教授らの協力のもと、ネオ性染色体というユニークな性染色体を独立に獲得したショウジョウバエ3種を用いて、誕生した直後の性染色体がどのように進化するのかを研究しました。すると、誕生して間もないにもかかわらず、3種のネオY染色体はすでに退化しつつある状況にあることが分かりました。また、ネオY染色体上の遺伝子が機能しなくなると、ネオX染色体上の相同な機能遺伝子の発現量が上昇して、これを補っている傾向が見られました。さらに、このうち2種は同じ常染色体に由来するネオY染色体を持ちますが、同じ遺伝子が有意に多く機能を失っている傾向にあることが分かりました。したがって、性染色体は共通のメカニズムによって進化している可能性があります。今後、ショウジョウバエ以外の様々な生物の性染色体を調べることで、性染色体の進化プロセスをより一般化できるようになるかもしれません。

本研究は、日本学術振興会の科学研究費(25711023,15K14585,17H05015,21H02539 to M.N.)、および文部科学省のゲノム支援(221S0002 to A.T.)及び先進ゲノム支援(16H06279 to A.T.)の支援を受けて行われました。

この研究成果は10月22日、米国の科学誌「Genome Research」に掲載されました。

遺伝研の貢献
性染色体進化のメカニズムを明らかにするために、ネオ性染色体というユニークな性染色体獲得した3種のショウジョウバエのショットガンシーケンス(ロングリードとショートリード)およびゲノムアセンブリなどゲノム解読の基盤となる情報を整備しました。

本解析は、2015年度ゲノム支援、2016年度、2017年度、2019年度の先進ゲノム支援の支援課題としておこなわれたものです。

Figure1
図: 本研究で明らかになった性染色体の初期進化の流れ
2021/10/20

栽培化歴のある雑草ヤハズエンドウのゲノム多様性
~遺伝的多様性を導入した育種で農作物に雑草のたくましさを~

Genome features of common vetch (Vicia sativa) in natural habitats

K. Shirasawa, S. Kosugi, K. Sasaki, A. Ghelfi, K. Okazaki, A. Toyoda, H. Hirakawa, S. Isobe

Plant Direct (2021) 5, e352 DOI:10.1002/pld3.352

プレスリリース資料

かずさDNA研究所は東京大学、国立遺伝学研究所と共同で、全国12地点から採取した1243個体のヤハズエンドウ(別名カラスノエンドウ)のゲノムを比較し、その遺伝的多様性を評価しました。

農作物を育てるには、雑草を排除し病害や虫害を農薬などで防がなくてはなりません。農作物が雑草より弱いのは、栽培化*3の過程で遺伝的多様性を失ったことが原因のひとつと考えられます。

ヤハズエンドウはかつて農作物として栽培化された雑草で、どの程度の多様性があれば野生で生き延びられるのかを知る手掛かりとして注目されます。

ゲノム全体にわたって遺伝的多様性が見られたなかで、開花時期に関する遺伝子セットは多様性が縮小していました。この結果は、一部の遺伝子セットで多様性がなくてもゲノム全体で遺伝的多様性があれば雑草のたくましさは保たれることを示しています。

今回の結果は、農作物として重要な形質の選抜過程で、その形質に関わらない遺伝子の全体としては野生の原種が持つ多様性を導入すれば、除草・防虫・消毒といった農作業コストや環境への負荷を低減させた農業が実現できることを期待させるものです。

本研究の一部は科研費(24710237と221S0002)の助成を受けて実施しました。

研究成果は国際学術雑誌 Plant Direct において、10月7日(木)にオンライン公開されました。

Figure1
図: 従来の育種では、新品種を確立するための選抜の過程で遺伝的多様性が排除される。ゲノム解析により、高い多様性を維持しつつも、農業生産に適した遺伝子を固定した集団が作成できれば、たくましさと高い生産性を持つ作物が開発できる可能性を示している。
2021/10/20

生態遺伝学研究室 細木拓也さんが河川財団の優秀成果を受賞

大槌町で大槌を振るう細木さん
大槌町で大槌を振るう細木さん

 このたび、生態遺伝学研究室の細木拓也さん(総研大)が、河川財団から受けた助成「町指定天然記念物イトヨが生息する湧水河川・湖沼における震災復興工事の影響と保全事業の効果」の成果に対して、「優秀成果表彰」を授与されることとなりました。2020年度助成を受けた研究者の中から、他者の模範となる素晴らしい研究活動を行った研究者へ授与されるものです。11/4に表彰式と記念講演が開催されます。


   
   
 

講演タイトル:

 町指定天然記念物イトヨが生息する河川・湖沼における震災復興工事の影響と保全事業の効果

令和3年度 研究者・研究機関部門 優秀成果表彰式・記念講演のご案内

優秀成果表彰式・記念講演チラシ

生態遺伝学研究室

2021/10/11

ピロール・イミダゾールポリアミドを用いたテロメアクロマチンの成分分析

前島研究室・ゲノムダイナミクス研究室

Telomere-specific chromatin capture using a pyrrole–imidazole polyamide probe for the identification of proteins and non-coding RNAs

Satoru Ide#*, Asuka Sasaki#, Yusuke Kawamoto, Toshikazu Bando, Hiroshi Sugiyama, Kazuhiro Maeshima
#共同第一著者 *責任著者

Epigenetics & Chromatin (2021) 14, 46 DOI:10.1186/s13072-021-00421-8

国立遺伝学研究所の井手聖 助教、佐々木飛鳥 元総研大大学院生、前島一博 教授のグループは、京都大学・理学研究科の河本佑介 元大学院生、板東俊和 准教授、杉山弘 教授のグループと共同で、染色体末端テロメア配列のクロマチンの構成成分を抽出し、分析する方法 (PI-PRICh)を開発しました。染色体テロメアは細胞老化・がん化に重要な役割を担うことが知られています。

ゲノム上のDNA制御配列(染色体末端であるテロメア等)は、細胞の増殖、分化、発生、老化などの過程で、さまざまな機能を遂行します。この働きを理解するためには、DNA制御配列にどのような因子が結合し、機能的なクロマチンを形成するのかを知ることが不可欠です。このDNA制御配列を含んだクロマチンを単離精製し、その構成成分を分析する方法は、結合因子を包括的に同定できる有効なアプローチで、これまで様々な手法が開発されてきました。しかしながらこれまでタンパク質成分の分析はおこなわれてきましたが、クロマチンに結合するRNAの成分分析は困難でした。タンパク質をコードしない機能性RNAはクロマチンの機能に重要な働きが示唆される一方、精製過程で不純物(主にリボソームRNAやメッセンジャーRNA等)が混入しやすいことが問題でした。

本研究ではこの問題点を克服するため、「ピロール・イミダゾール(PI)ポリアミド化合物」(図1A)を用いたクロマチン単離法 (PI-PRICh)を開発しました。PIポリアミドは、マイナーグルーブバインダーと呼ばれ、二本鎖DNAの副溝を通して塩基配列を認識し、特異的に結合します。そのため、PIポリアミドは不純物の要因となる一本鎖RNAに結合せず、標的の二本鎖DNAのみに結合し、クロマチンを高純度に精製できます。研究グループがPIポリアミドを用いて、マウスとヒトのテロメアクロマチンを精製し、構成成分を分析したところ、テロメア結合タンパク質シェルタリン複合体などの結合タンパク質群に加えて、テロメアを伸長させる酵素のRNA構成要素を含めた多くの機能性RNAの同定に成功しました(図1B)。

本研究の成果により、テロメアのクロマチン構成因子の変化を詳細に捉えることが可能となり、老化やがん化におけるテロメアのさらなる役割が明らかになると期待されます。また、PIポリアミド化合物を用いれば、テロメアのみならず、他のDNA制御配列のクロマチン構成因子を網羅的に同定できることが期待されます。

本研究を遂行するにあたり、NIG-JOINT(2015-B6)、日本学術振興会 (JSPS) 及び文部科学省科研費 (JP17J10836, 15H01361, 21H02535, 20H05936, 21H02453)、JSPS特別研究員(DC2)、武田科学振興財団、上原記念生命科学財団の支援を受けました。

Figure1
図1:(A) クロマチン精製用のピロール・イミダゾール(PI)ポリアミド化合物。PIポリアミド化合物は二重鎖の副溝を通してDNAに結合する。精製用タグがリンカーを介してテロメア結合PIポリアミドに付加されている。(B) PIポリアミドを精製用プローブとして用いたテロメアクロマチン単離法 (PI-PRICh)の概要図。細胞を架橋固定し、クロマチンを可溶化する。PIポリアミドプローブを加えて標的配列に結合させることで、標的クロマチンを単離濃縮する。その後、結合タンパク質とRNA(主としてノンコーディングRNA)をそれぞれ質量分析計と次世代シークエンサーで解析する。
2021/10/05

糖資化性が乳酸菌の生態学的ニッチの構築と遺伝子交換に影響する。

有田研究室・生命ネットワーク研究室

Figure1
図の説明は文末

A sugar utilization phenotype contributes to the formation of genetic exchange communities in lactic acid bacteria

Shinkuro Takenaka, Takeshi Kawashima, Masanori Arita.

FEMS Microbiology Letters (2021) 368, fnab117 DOI:10.1093/femsle/fnab117

水平伝播 (HGT : Horizontal Gene Transfer)がより頻繁に起きる生物同士は、遺伝子交換コミュニティ(GECs : Genetic Exchange Communities)という高密度のネットワークを形成します。GECsは生態学的ニッチの共有、つまり同じ環境に生息することで形成され、細菌のゲノム進化に大きな影響を与えると考えられます。しかしながら、生態学的ニッチの共有によるGECsの形成メカニズムは、知見が蓄積されていません。

我々はGECsに対する生態学的ニッチの影響を理解するためには、細菌の表現型の調査が必要であると考えました。研究対象としては、発酵乳製品、肉、野菜などの生態学的ニッチに広く生息し、ゲノムや表現型が十分に調査されている乳酸菌の一種、Lactobacillaceae科を選びました。表現型とゲノムの特徴を調査して、どの要因がHGTの頻度に影響を与えるかの特定を試み、相同遺伝子とネットワーク分析により、Lactobacillaceae科の菌株がどのようにGECsを形成しているかを調査しました。

結果として、乳酸菌がもつ様々な糖を利用する能力である糖資化性が、GECsの形成に顕著に寄与することが分かりました。これらのネットワークは、Lactobacillaceae科が野菜、乳製品、醸造環境などのニッチを共有することにより、多種多様な発酵食品の生産に関わっているという事実と一致しています。

今回我々が得た知見は、生態学的ニッチにおける細菌の進化メカニズムの一端を明らかにしました。さらに研究を深め、複雑な微生物の進化の成り立ちの解明につなげたいと考えています。

この研究は、文部科学省科研費(17K19248)、NBDC統合データベースプロジェクト、NIG-JOINT(2020)、ROIS文理融合プロジェクト(2020-2021)によってサポートされました。 出版費用は総合研究大学院大学が部分的に負担しました。

冒頭の図: 16S rRNA遺伝子を基に作成したLactobacillaceae科に属する178株の系統樹。属ごとに色分けしている。次の5つの記号は、各菌株の表現型の特徴を示している。一番内側の三角形は15°Cでの増殖能、2番目の三角形は45°Cでの増殖能、3番目の星は微好気性、4番目の赤い三角形は通性嫌気性、5番目の円は偏性嫌気性を示す。塗りつぶされた記号は、菌株に表現型があることを、白抜きの記号は、表現型がないことを意味する。 また空白は、情報が得られなかったことを意味する。その次の赤い棒グラフは、資化できる糖の種類の数を示し、外側の青い棒グラフは、各株のタンパク質をコードしている遺伝子(CDS: coding sequence)の数を示している。紺色はHGTによって取得されたCDSの推定数を示し、水色はネイティブCDSの数を示す。

Figure1

図:乳酸菌のHGTのネットワーク。ノードは菌種を表しており、属ごとに色分けしている。エッジは5つ以上の相同遺伝子を共有している菌株間に引かれる。赤いエッジは糖資化性が高い菌株、青いエッジは糖資化性が低い菌株が優先的に持っている相同遺伝子の共有を示している。糖資化性が高い菌種は、遠縁で且つ生態学的ニッチを共有しているもの同士でGECsを形成している。

2021/10/01

10月1日付け新任教員の着任

2021年10月1日付けで教授が着任しました.

米原 圭祐:多階層感覚構造研究室

米原 圭祐 教授

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