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2020/03/25

発生工学研究室 島田さんが「研究科長賞」を受賞

島田さん(左)と所長
島田さん(左)と所長

 総合研究大学院大学の各研究科において、特段に顕彰するに相応しい研究活動を行い、修了する学生 に対し、研究科長賞が授与されます。
 発生工学研究室 相賀研究室に所属する島田 龍輝さんが、2019年度後期の生命科学研究科 研究科長賞を受賞しました。

・島田 龍輝(発生工学研究室 相賀研究室)
「The molecular dissection of NANOS2 function required for male germ cell differentiation 」


 授与式が2020年3月24日に行われ、花岡専攻長から賞状が贈られました。

 島田さんは今回、遺伝学専攻の「森島奨励賞」も受賞しています。


2020/03/25

沼津高専と教育研究交流に関する協定を締結

沼津高専藤本校長(左)と花岡所長(右)
沼津高専藤本校長(左)と花岡所長(右)
国立遺伝学研究所は、3月24日、沼津工業高等専門学校と教育研究交流に関する協定を締結しました。
弊所から、花岡所長、黒川副所長らが訪れた沼津工業高等専門学校で、藤本校長を始めとする関係者の皆様方に迎えられ、締結式を行いました。
この協定により教育及び学術研究上の協働はもちろん、学生及び教員の交流などの強化が期待されます。

他研究機関との交流

2020/03/25

発生工学研究室 島田さんが「森島奨励賞」を受賞

島田さん(左)と所長
島田さん(左)と所長

 総合研究大学院大学 遺伝学専攻が独自に行っている「森島奨励賞」の選考が、2019年度後期の学位出願者に対して行われ、発生工学研究室 相賀研究室に所属する島田 龍輝さんが受賞しました。

・島田 龍輝(発生工学研究室 相賀研究室)
「The molecular dissection of NANOS2 function required for male germ cell differentiation 」


 授与式が2020年3月24日に行われ、花岡専攻長から賞状と研究奨励金が贈られました。


森島奨励賞とは

総研大遺伝学専攻で優秀な研究成果を発表して学位を取得した学生に、その研究内容を称えるとともに今後のさらなる発展を促す目的で贈られます。

遺伝学の先達

 森島啓子名誉教授

2020/03/23

植物が諸刃の剣である活性酸素の発生範囲を限定する仕組み

SCHENGEN receptor module drives localized ROS production and lignification in plant roots

Satoshi Fujita, Damien De Bellis, Kai H Edel, Philipp Köster, Tonni Grube Andersen, Emanuel Schmid-Siegert, Valérie Denervaud Tendon, Alexander Pfister, Peter Marhavý, Robertas Ursache, Verónica G. Doblas, Marie Barberon, Jean Daraspe, Audrey Creff, Gwyneth Ingram, Jörg Kudla, Niko Geldner

EMBO J (2020)e103894 DOI:10.15252/embj.2019103894

活性酸素種は生物種を問わずいくつもの局面において重要な生理的機能をもつと考えられているが、その反応性の高さから活性酸素種のターゲット分子を明確に決定することは非常に困難である。しかしながら植物においては、単量体のリグニンがペルオキシダーゼの活性によって重合する過程で活性酸素が必要であることが知られている。リグニンはその物理的特性から、高等植物を機械的に支える機能が特に注目されるが、その高い疎水性から拡散バリアとして機能することも知られている。本論文では、根における拡散バリア(カスパリー線)の形成時に活性酸素種の生産をマイクロメーターオーダーの領域で活性化する受容体シグナル経路を報告した。

カスパリー線の適切な形成には受容体キナーゼ(SGN3)およびそのリガンドである分泌ペプチド(CIF) (参照:Research highlight 2020/01/22)、細胞膜に極性をもって局在するキナーゼ(SGN1)およびNADPH oxidase(SGN4/RBOHF)などがこれまでに知られていた。そこで分泌ペプチドであるCIF2で植物を処理したところ活性酸素の産生が亢進されたことから活性酸素種を産生するNADPH oxidaseがペプチドシグナルの下流であることを強く示唆した。生化学的解析によりSGN3/CIF2受容体ペプチド複合体からSGN1、NADPH oxidaseをつなぐリン酸化経路の存在が示された。

また、活性酸素種は非常に空間的に限定されて産生されていることから、この経路の空間的制御に関して検討したところ、SGN1の極性を持った局在がマイクロメーターレベルでの限定化に寄与していることを明らかにした。さらにこの経路は細胞膜上での活性酸素種の発生だけではなく、大掛かりな転写変化を介して根における拡散バリアの構築に寄与していることも示した。これらのデータはDoblas et al. (2017)で提唱された”Surveillance model”によるバリア形成機構を強く支持する。本研究では細胞でのシグナル伝達が器官レベルにわたる構造の連続性を保障することを示した。

本研究はローザンヌ大Prof. Niko Geldnerのグループにおいて藤田智史 博士(当時ローザンヌ大博士研究員、現遺伝研博士研究員)を中心としてローザンヌ大イメージングファシリティー、電子顕微鏡ファシリティー、ゲノミクスファシリティー、スイスバイオインフォマティクス機構、ミュンスター大Prof. Jörg Kudla、ENS リヨンのDr. Gwyneth Ingramの共同研究として行われた。

本研究はSNFグラント (9731003A_156261 and 310030E_176090 (N.G.))、ERCグラント (616228-ENDOFUN, N.G.), DFG grant (Ku931/14-1 (J.K.)) FEBS long-term fellowship (P.M.), EMBO long-term fellowship (R.U., M.B.), Marie Curie postdoctoral fellowship (T.G.A,), Fundacion Alfonso Martin Escudero fellowship (V.G.D.) 日本学術振興会海外特別研究員制度(S.F.)の援助により行われた。

Figure1

図:植物の根にはカスパリー線と呼ばれる小分子に対するバリアが形成される。この構造の適切な形成にはマイクロメーターレベルでの活性酸素(ROS)の産生(電顕写真)が重要であり、非対称なシグナルの活性化(モデルを参照)により局所的なリグニンの蓄積が可能になる。

  • RNA seq data(CIF2ペプチドによる転写レベルでの変化)
2020/03/13

生命ネットワーク研究室 細木藍 特任研究員が光ファイバ応用技術研究会2019年奨励賞を受賞

細木藍さん

 生命ネットワーク研究室 細木 藍 特任研究員が、新潟にて行われました 2019年10月11日、光ファイバ応用技術研究会(OFT)第3回研究会の講演で、2019年奨励賞を受賞しました。

 本研究では、生命情報・DDBJセンター 櫻井 望 特任准教授と進めているJST-CREST「根圏ケミカルワールドの解明と作物頑健性制御への応用」(代表:杉山 暁史、京大、准教授)において、土壌中の根の近傍における化合物の検知を可能とするセンサデバイスの開発を目指しています。


演題:脂質膜を固定化したヘテロコア光ファイバの化学センシングへの応用

授賞日:令和2年3月18日

受賞名:2019年 光ファイバ応用技術研究会 奨励賞


JST-CREST 「根圏ケミカルワールドの解明と作物頑健性制御への応用」


細木 藍 特任研究員より受賞のコメントが届いておりますのでご紹介します。

光ファイバセンサが、土壌中のケミカル成分を検知するために優位性のあるセンサデバイスであると評価して頂いたのだと感じています。
根圏ケミカルワールドの解明に向けて、光ファイバをはじめとした新規なセンサデバイスの研究・開発に一層取り組んでいきます。
本研究の遂行にあたりお世話になったすべての方々に厚く御礼申し上げます。
2020/03/12

消化管の逆蠕動運動を制御する神経細胞を発見

Gastrointestinal Neurons Expressing HCN4 Regulate Retrograde Peristalsis

Kensuke Fujii, Koichi Nakajo, Yoshihiro Egashira, Yasuhiro Yamamoto, Kazuya Kitada, Kohei Taniguchi, Masaru Kawai, Hideki Tomiyama, Koichi Kawakami, Kazuhisa Uchiyama, and Fumihito Ono


Cell Reports 30(9), 2879-2888 (2020). DOI:10.1016/j.celrep.2020.02.024

消化管は脳から独立した高次の神経ネット-ワーク(腸管神経系)をもっています。腸管神経系は消化管の正常な機能に不可欠です。蠕動(消化管の運動)もその機能の一つです。これまで正蠕動(口から肛門方向)については研究されてきましたが、逆蠕動についてはよくわかっていませんでした。

私たちは、遺伝子トラップトランスジェニックゼブラフィッシュを用いて、心臓のペースメーカー細胞で発現している過分極活性化環状ヌクレオチド依存性チャネルHCN4が、消化管でも発現していることを見出し、HCN発現神経細胞がセロトニン作動性であることを同定しました。次に、HCN4発現神経細胞にチャネルロドプシンを発現させ、その機能を光で操作し生体内での役割を解析しました。その結果、消化管におけるHCN4発現神経細胞の興奮が、逆蠕動の収縮回数を増加させ、特に短軸方向への平滑筋(輪走筋)の収縮を増強させることを発見しました。

逆蠕動は、ヒトにおいて正常な状態の回腸や上行結腸で見られるほか、嘔吐にも関わっていると考えられますが、そのメカニズムはよくわかっていません。本研究は、逆蠕動のメカニズム解明の端緒になると考えられます。

本研究は、大阪医科大学藤井博士、小野博士らとの共同研究として行われました。NBRPおよびNBRPゲノム情報等整備プログラムの支援を受けています。

Figure1

図1:過分極活性化環状ヌクレオチド依存性チャネルHCN4発現神経細胞を阻害すると逆蠕動が弱くなり、興奮させると逆蠕動が増強された。

Figure1

図2:ゼブラフィッシュ消化管における神経細胞(赤)およびHCN4発現神経細胞(緑)の視覚化。

2020/03/10

生態遺伝学研究室 石川助教が第24回日本生態学会宮地賞 受賞

 生態遺伝学研究室の石川助教は、2020年3月7日(土)に名古屋で、第24回日本生態学会宮地賞を受賞しました。
 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、第67回生態学会は中止となりましたが、表彰式、受賞講演などは行われ、参加予定者らにライブ配信されました。
 「日本生態学会宮地賞」は、生態学に大きな貢献をしている本学会の若手会員に対して、その研究業績を表彰することにより、わが国の生態学の一層の活性化を図ることを目的とするものです。

受賞名:第24回日本生態学会宮地賞

第67回日本生態学会名古屋大会

生態遺伝学研究室

2020/03/03

仮想現実世界を「遊泳する」ゼブラフィッシュ
~バーチャルリアリティを利用して脳のはたらきを研究する~

Press release

A virtual reality system to analyze neural activity and behavior in adult zebrafish

Kuo-Hua Huang, Peter Rupprecht, Thomas Frank, Koichi Kawakami, Tewis Bouwmeester and Rainer W. Friedrich

Nature methods 02 March 2020 DOI:10.1038/s41592-020-0759-2

プレスリリース資料

ゼブラフィッシュは脊椎動物の行動と脳の働きの関係を調べるのに適したモデル動物です。この特長を生かして、生きているゼブラフィッシュの稚魚を用いて脳の働きを調べる研究が、これまでさかんに行われてきました。一方、ゼブラフィッシュの「成魚」は稚魚よりもはるかに複雑な行動をしますが、成魚で行動と脳の働きの関係を調べることはできませんでした。

情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所とフリードリッヒミーシャ生物医学研究所(スイス)の共同研究グループは、ゼブラフィッシュの成魚にビデオを見せて、バーチャルリアリティ(仮想現実)世界を「泳がせる」ことで、行動と脳の働きの関係を調べる研究を実現しました。仮想現実空間を「遊泳中」のゼブラフィッシュ成魚の脳の活動をカルシウムイメージング法により解析することに成功したのです。この解析システムを用いて、ゼブラフィッシュに遊泳行動の方向と逆方向に動く映像のビデオを見せることで、「撹乱(予想外の出来事)」に反応する神経細胞を突き止めました。

本成果は、記憶・学習などの複雑な行動や自閉症および認知症などの脳機能に関係する脳神経回路のはたらきを研究する基盤となることが期待できます。

本研究は、国立遺伝学研究所とフリードリッヒミーシャ生物医学研究所(スイス)の共同研究として行われました。またこの研究は部分的にNBRPおよびNBRP基盤技術整備プログラムに支援されています。

本研究成果は、英国科学雑誌「Nature methods」に2020年3月3日午前1時(日本時間)に掲載されました。

Figure1

図: ゼブラフィッシュのバーチャルリアリティ(仮想現実)システム
A: ゼブラフィッシュの頭蓋骨を固定する様子
B: 仮想現実をビデオ投影する装置
C: 投影したビデオ画像
D: ゼブラフィッシュに見えている仮想現実世界 (二つのトンネルのある風景)

  • この研究の基盤となった研究はこちらです。

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