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2016/06/27

ヒト科特有のコード・非コードゲノム配列の誕生と進化

集団遺伝研究部門・斎藤研究室

Emergence and evolution of Hominidae-specific coding and noncoding genomic sequences

Morteza Mahmoudi Saber, Isaac Adeyemi Babarinde, Nilmini Hettiarachchi and Naruya Saitou

Genome Biology and Evolution Volume 8, advance access, 2016 DOI:10.1093/gbe/evw132

ヒト科にはヒトと大型類人猿が含まれる。われわれはこれらの全ゲノム配列を用いて、ヒト科特有の遺伝子および高度に保存された非コード塩基配列 (HCNS)を探索した。遺伝子については、ダウン症重要領域4 (DSCR4) 遺伝子だけが、実験的にタンパク質の存在が確認されているヒト科特有のものだった。DSCR4タンパク質は他のすべてのタンパク質と構造上の相同性がなく、いくつかの段階を経て誕生したと推定された。われわれは1658個のヒト科特有HCNSを発見した。これらのHCNSは純化淘汰を受けており、重要な機能を持っていると考えられる。これらの配列は音の感覚認知や発生過程に関する遺伝子の近傍にあり、またヌクレオソーム存在確率が有意に低い。興味深いことに、ヒト科特有HCNSの祖先配列の多くは、きわめて高い進化速度を有していた。このことは、HCNSの一部の新しい機能がなんらかの正の(ダーウィン流の)自然淘汰によって誕生し、その後純化淘汰によってこれらの機能が保たれるようになったことを示唆している。

Figure1

ヒト科とその外群における系統樹の枝ごとの進化速度。数字は分岐年代(単位:百万年)。ヒト科内では進化速度がゼロ(塩基配列が同一)だが、枝α、β、γの進化速度は5.5, 2.0,1.9である。特にヒト科の共通祖先である枝αは、中立進化速度 (1.0)の5倍以上の高さであり、一部の祖先配列は正の自然淘汰を受けていたように思われる。

2016/06/02

「遺伝研メソッド」によるプレゼンテーション講習会開催のお知らせ

応募者多数のため募集を締め切らせていただきました

概要

科学プレゼンテーション講習会

7月1日(金), 2日(土)に科学プレゼンテーション講習会を遺伝研にて開催します。

「遺伝研メソッド」とは,国立遺伝学研究所(総研大・生命科学研究科・遺伝学専攻)で開発された科学プレゼンテーションのカリキュラムです。 英語による研究発表のトレーニングを通じて、研究者としての論理的思考力、英語で質問や議論する能力を培います。 学生だけでなく、若手研究者、教員など多くの研究者のプレゼンテーション能力の向上に成果を上げています。

本講習会は2日間で講義と実践演習(希望者5名の研究発表に対して講師陣や他の参加者が助言を行うセッション)を行います。使用言語は英語です。

参加を希望される方は以下の応募要項をご確認の上、応募方法に従ってお申し込みください。

スケジュール

7月1日 13:30~16:15 講義
7月2日 09:00~12:00 実践演習、講義

詳しくは以下のサイト(英語)をご参照ください。
http://www.nig.ac.jp/nig/workshop/

開催場所

国立遺伝学研究所
411-8540 静岡県三島市谷田1111

対象者・募集人数

自然科学系の教員、研究者、学生
最大50名(うち実践演習5名)

応募方法

以下の情報をメール ask-ord@nig.ac.jp にてお寄せください。メールの件名は「NIGMethod2016」にしてください。

  1. 氏名
  2. 所属機関
  3. 身分
  4. 研究室名
  5. 研究内容(2、3行で)
  6. 実践演習での研究発表(10分)を希望しますか?(はい/いいえ)
    希望される方は、発表題目と要旨ご提出ください。

旅費を支給します。旅費支給を希望される方は、以下の情報を応募メールにてご連絡ください。

  1. 本ワークショップに参加するにあたって必要な予算(交通費、宿泊費)
  2. 参加のための経費を支出できる予算(ご自身の研究費、PIの研究費など)がある場合、その金額
  3. 本ワークショップに参加される理由、期待していることを(2、3行)

申し込み締め切り後、メールにて旅費支給の可否、支給額等をご連絡いたします。

問い合わせ先: ask-ord@nig.ac.jp


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