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2018/09/27

「遺伝研メソッドセミナー」開催のご案内

「遺伝研メソッド」は、「英語」と「科学的思考」の両方を強化するために遺伝研で開発された科学プレゼンテーションの教育プログラムです。科学者としての経験から気づいたコツや、目にしがちな間違いや失敗などを材料にしており、科学者目線で作られたプログラムとして大変好評をいただいています。このたび、広海健URAによる「遺伝研メソッドセミナー」を本場遺伝研で開催することにしました。遺伝研で通年講義を受講した方も、そうでない方も、みなさんに楽しんでいただける内容になっています。大学や研究機関で大人気の講演を是非ご体験ください!

日時: 2018年11月 8日(木)13:30 ~ 16:30

会場: 国立遺伝学研究所 講堂

プログラム:・構成のストラテジー
      ・情報提示の小技
      ・Q&Aの心得

講師: 広海 健(遺伝研リサーチ・アドミニストレーター室長)

対象: 研究発表に興味がある学生・ポスドク・教員など
    プレゼン技術指導や科学英語教育に関心のある方

言語: 日本語

参加費: 無料

申し込み方法: 他研究機関の方は遺伝研男女共同参画推進室 danjo-nig@nig.ac.jp までメールでご連絡ください。
   遺伝研関係者は申し込み不要です。

参考文献: 平⽥たつみ,タジ・ゴルマン,広海健「遺伝研メソッドで学ぶ科学英語プレゼンテーション(2016年 dZERO)」


【問い合わせ】
〒411-8540 三島市谷田1111
国立遺伝学研究所 男女共同参画推進室  Email:danjo-nig@nig.ac.jp

※ 遺伝研では科学英語プレゼンテーションの 出前研修 も行っています

2018/09/21

テントウムシの多様な斑紋を決定する遺伝子の特定に成功

Press Release

Repeated inversions within a pannier intron drive diversification of intraspecific colour patterns of ladybird beetles

Toshiya Ando, Takeshi Matsuda, Kumiko Goto, Kimiko Hara, Akinori Ito, Junya Hirata, Joichiro Yatomi, Rei Kajitani, Miki Okuno, Katsushi Yamaguchi, Masaaki Kobayashi, Tomoyuki Takano, Yohei Minakuchi, Masahide Seki, Yutaka Suzuki, Kentaro Yano, Takehiko Itoh, Shuji Shigenobu, Atsushi Toyoda, and Teruyuki Niimi

Nature Communications 9, Article number: 3843 (2018) DOI:10.1038/s41467-018-06116-1

プレスリリース資料

基礎生物学研究所 進化発生研究部門の安藤俊哉助教と新美輝幸教授らの共同研究チームは、テントウムシの多様な翅の斑紋(模様)を決定する遺伝子の特定に成功しました。

ナミテントウの前翅には、同種でありながら200以上もの異なる斑紋が存在します。この斑紋の多様性は、遺伝の様式から、一つの遺伝子によってもたらされることが古くから知られていましたが、具体的な遺伝子の実体および斑紋形成メカニズムは全く不明でした。本共同研究チームは、ナミテントウのゲノム解読などを行い、斑紋のパターンを決定する遺伝子がパニア(pannier)と呼ばれる遺伝子であることを特定しました。テントウムシの斑紋は、主に黒色と赤色のパターンとして作られますが、この遺伝子は、前翅がつくられる過程の、蛹の中期のステージにおいて黒色色素形成領域で働き、黒色色素(メラニン)の合成を促すと同時に赤色色素(カロテノイド)の沈着を抑制する機能をもつことが明らかになりました。興味深いことに、たった1つの遺伝子の働きにより翅全体の斑紋パターンが決定される機能は、ナナホシテントウにおいても保存されていることが判明しました。

本研究は基礎生物学研究所 進化発生研究部門の安藤俊哉助教と新美輝幸教授らのグループを中心として、東京工業大学の伊藤武彦教授らのグループ、基礎生物学研究所の重信秀治特任准教授らのグループ、明治大学の矢野健太郎教授らのグループ、国立遺伝学研究所の豊田敦特任教授らのグループ、東京大学の鈴木穣教授らのグループからなる共同研究チームにより実施されました。

本研究成果はNature Communicationsに2018年9月21日に掲載されました。

本研究は、科学技術振興機構(さきがけ研究21「認識と形成」)、科学研究費助成事業 (18017012, 20017014, 新学術領域研究「ゲノム支援」221S0002 , 22380035,26113708, 17H05848, 18H04828)および基礎生物学研究所 共同利用研究(18-433)などの支援を受けて行われました。

遺伝研の貢献
国立遺伝学研究所は、ナミテントウのゲノム解読にあたり、塩基配列決定および決定した配列からゲノム配列の再構築を担当しました。

Figure1

図:ナミテントウの多様な翅の斑紋

2018/09/20

「先進ゲノム支援」情報解析講習会のご案内 申込締切:10月16日(火)

「先進ゲノム支援」では支援活動の一環として情報解析講習会を開催しています。今年度は、中級者向けの講習会として、プログラミング言語「Python」を用いたRNA-seqデータの視覚化や多変量解析等のプログラミング実習を中心に、以下の要領で情報解析講習会を開催いたします。

日時: 2018年11月19日(月)13:00 ~ 11月21日(水)13:00

会場: 国立遺伝学研究所   静岡県三島市谷田1111

想定スキルレベル: 情報解析中級者

募集人員: 若手研究者 20名程度
   ・これから自分で実践的にプログラミングをしようと考えている方。
   ・基本的なLinuxコマンドは身につけていることを前提とします。
   ・応募者多数の場合は、先進ゲノム支援における支援依頼者を優先します。
    さらに多数の場合は抽選等で参加者を決定いたします。
   ・応募は支援依頼者毎、研究室毎に1名に限定させていただきます。

参加費用: 無料

申込締切: 2018年10月16日(火)


※ 申込方法・講習スケジュール等、詳細につきましては以下のURLをご覧ください。
https://www.genome-sci.jp/whatsnew/event/news20180920.html
2018/09/19

「寺deサイエンス」を開催:10月19日(金)

公益財団法人遺伝学普及会の代表理事でもあるお二人が、最新の生命科学の発展をダイナミックで国際的な研究を通して紹介してくださいます!
お寺の落ち着いた雰囲気の中で気軽に対話を楽しみませんか??

日 時: 10月19日(金)19:00~20:30(受付:18:30~)

場 所: 君澤山 蓮馨寺(三島市広小路町1-39)

講演 ①:紅海の海は青かった!
    (サウジアラビアからの海洋生命科学研究報告)

  五條堀孝氏(国立遺伝学研究所名誉教授、KAUSTディスティングイッシュト
  プロフェッサー、遺伝学普及会代表理事)

講演 ②:ハダカデバネズミに学ぶ長生きの秘訣

  小林武彦氏(東京大学教授、日本遺伝学会会長、遺伝学普及会代表理事)

対 象: サイエンスに関心のある一般の方 

定 員: 40名(応募者多数の場合は抽選)

参加費: 1000円

申し込み: 公益財団法人遺伝学普及会 事務局まで 

  ①氏名 ②性別 ③住所 ④電話番号 を明記の上、メール・はがき・FAXでお申込みください。電子申請も可能です。


【問い合わせ・申し込み】
〒411-8540 三島市谷田1111
公益財団法人遺伝学普及会 事務局
TEL:055-981-6857、 FAX:055-981-6877
Email:genetics@nig.ac.jp
2018/09/14

一般向け公開シンポジウム「日本列島人1000万年」を三島市で開催:10月21日(日)

三島市民文化会館にて第72回日本人類学会の公開シンポジウム「日本列島人1000万年」が開催されます。参加費無料の一般向けの講演になります。みなさまのお越しをお待ちしております。

日時: 2018年10月21日(日)14:00-16:00

場所: 三島市民文化会館【ゆぅゆぅホール】1 階小ホール
〒411-0036 静岡県三島市一番町20−5

対象: 一般

参加費: 無料

講演1: 諏訪 元(東京大学総合研究博物館 館長・教授)
アフリカで誕生した人類の祖先

講演2: 篠田 謙一(国立科学博物館 副館長・人類研究部長)
DNAゲノム解析からさぐる日本列島の古代人-縄文人と弥生人の関係-

講演3: 藤尾 慎一郎(国立歴史民俗博物館 教授)
縄文人は穀物を栽培していたのか?

講演4: 木部 暢子(国立国語研究所 副所長・教授)
日本語と琉球語の成立をさぐる-アクセントの比較対照から-

司会: 斎藤 成也(国立遺伝学研究所 教授)


※ 詳細は以下のリンク先をご覧ください。

公開シンポジウム1 「日本列島人1000万年」(第72回 日本人類学会大会)

2018/09/13

ヤポネシア人の起源に関する新規研究プロジェクトを開始

 このたび,大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所,大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国立歴史民俗博物館及び国立国語研究所,独立行政法人 国立科学博物館,国立大学法人 北海道大学,青山学院大学の研究者から成る研究グループは,ヤポネシア人(日本列島人)の起源と成立・発展過程を,ゲノム研究,考古学研究,言語学研究など,多角的な側面から解明しようとする新たなプロジェクトを開始することとなりました。

 国立遺伝学研究所では、集団遺伝研究部門 教授 斎藤成也がプロジェクトの統括と(研究計画A01)「現代人ゲノム配列解析にもとづくヤポネシア人進化の解明」を実施します。


ヤポネシア人の総合的研究
ヤポネシア人の総合的研究

<研究のねらい>

 ヤポネシア(日本列島)には約4万年前に最初のヒトが渡来し,その後も何度か渡来の波がありました。

 本研究プロジェクトでは,この枠組みの中で,ヤポネシア人(日本列島人)はどのような集団にその起源をもつのか,ヤポネシアにおける成立・発展の過程はどうであったのかを,多地域から選別した現代人数百個体と旧石器時代~歴史時代の古代人100名のゲノム配列を決定し比較解析して,ヤポネシア人ゲノム史の解明をめざします。

 また,ヒトとともにヤポネシアに移ってきた動植物についても,それらのゲノム配列の比較から歴史を明らかにします。そして,過去の人口増減の詳細な歴史を,ゲノム配列から推定する既存の方法や新規に開発する方法を用いて再構築します。

 さらに,ヤポネシア人の歴史を多方向から検討するために,これらのようなゲノム研究と,年代測定を取り入れた考古学研究,日本語・琉球語の方言解析を含む言語学研究の各グループによる共同研究を行います。


<参加研究機関、及び、研究サポート>

大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所

大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国立歴史民俗博物館

大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国立国語研究所

独立行政法人 国立科学博物館

国立大学法人 北海道大学

青山学院大学


 本研究プロジェクトは,平成30年6月29日に文部科学省科学研究費補助金新学術領域研究の「ヤポネシア人の総合的研究」(略称ヤポネシアゲノム,領域代表者:情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所教授 斎藤成也)に,また,同年7月9日に大学共同利用機関法人の機構間連携研究「日本列島における人間・文化の起源とその発展に関する総合的研究」に採択され,本格的な研究が開始される運びとなりました。


2018/09/12

ゼブラフィッシュにおける簡便な複数sgRNA発現方法の開発

A tRNA-based multiplex sgRNA expression system in zebrafish and its application to generation of transgenic albino fish.

Tomoya Shiraki and Koichi Kawakami

Scientific Reports 8, Article number: 13366 (2018) DOI:10.1038/s41598-018-31476-5

CRISPR/Cas9システムの開発により、ゼブラフィッシュを含む様々な生物種において簡便かつ迅速にゲノム編集を行うことが可能になりました。さらにトランスジェニックフィッシュにおいてCas9遺伝子とsgRNAを発現させ、組織特異的に変異を導入する方法が開発されてきました。しかしながらこれまでの方法では、Cas9による二重鎖切断ののちに非相同末端結合により変異が作製されるため、その変異が必ずしも遺伝子の機能破壊を引き起こさないという問題がありました。

情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所の白木知也 特任研究員と川上浩一 教授の研究グループは、この遺伝子の破壊効率を上げ、さらに複数の遺伝子を同時に破壊するために、複数のsgRNAを一つの転写産物から効率よく産生する手法をゼブラフィッシュにおいて開発しました。さらにこの方法を利用して黒色の色素がなくなるアルビノのトランスジェニックゼブラフィッシュ(Tg-albino)を作出することに成功しました。

本研究では、複数のsgRNAとtRNAを連結した前駆体RNAをトランスジェニックゼブラフィッシュに導入しました。すべての細胞はtRNAのプロセシング機構をもっており、tRNA部分が前駆体RNAから切り出される際に、複数の各々のsgRNAが産生されることを示しました。また私たちは実際に、ゼブラフィッシュのアルビノ遺伝子に対する3種類のsgRNAとtRNAを連結した前駆体RNA、およびCas9遺伝子を発現するトランスジェニック個体においてアルビノの表現型が観察されることを見出しました。

本手法を用いることにより、組織・時期特異的に複数の遺伝子を高効率で破壊することが可能になると考えられ、今後のゼブラフィッシュを用いた遺伝学研究の推進につながると期待されます。

本研究は科研費補助金(JP15H02370, JP16K20983, JP16H01651, JP18H04988)、日本医療研究開発機構ナショナルバイオリソースプロジェクトおよびナショナルバイオリソースプロジェクトゲノム情報等整備プログラムの支援を受けて行われました。

Figure1

図:(A) tRNAのプロセシングを利用した複数sgRNAの発現方法の概略。 (B) アルビノトランスジェニックフィッシュ(Tg-albino)作製用コンストラクト。albino (slc45a2) 遺伝子に対する3種類のsgRNAを発現する。(C-E) Tg-albinoでは黒色素が消失し、色素合成阻害剤(PTU)処理個体や黒色素細胞のできないnacre変異体と同程度に透明になる。 (C) 三日齢のTg-albino系統。(D)成魚のTg-albino系統。(E) 五日齢のTg-albino系統におけるGFP蛍光イメージ像。

2018/09/12

形質遺伝研究部門 中沢さんが「森島奨励賞」を受賞

中沢さん(右)と所長
中沢さん(右)と所長

 総合研究大学院大学 遺伝学専攻が独自に行っている「森島奨励賞」の選考が、2018年度前期の学位申請者に対して行われ、 形質遺伝研究部門 岩里研究室に所属する中沢信吾さんが受賞しました。

・中沢信吾(形質遺伝研究部門 岩里研究室)
 「Dynamic mechanism of neural circuit refinement in neonatal cortex」

 この研究を ”Research highlights” で公開しています。
 樹状突起が適切な方向に伸びる仕組み
 ―世界初:新生児マウス脳で神経細胞を長期間くり返し観察することに成功―


 授与式が2018年9月11日に行われ、桂専攻長から賞状と研究奨励金が贈られました。


森島奨励賞とは

総研大遺伝学専攻で優秀な研究成果を発表して学位を取得した学生に、その研究内容を称えるとともに今後のさらなる発展を促す目的で贈られます。

遺伝学の先達

 森島啓子名誉教授

2018/09/03

9月1日付で助教が着任

2018年9月1日付けで遺伝研に助教が着任しました.

中川 直樹:形質遺伝研究部門・岩里研究室


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