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2014/11/18

実験圃場 野々村准教授が科研費審査委員として表彰されました

桂勲研究所長より表彰状と記念品が授与されました
受賞した野々村准教授(左)と 桂 研究所長(右)

 日本学術振興会では、科研費の適正・公平な配分審査のため、審査終了後、審査の検証を行います。 この検証結果に基づき、第1段審査(書面審査)委員を選考し表彰することとしており、平成26年度は約5,300名の第1段審査(書面審査)委員の中から170名が選考され、本研究所の野々村准教授が対象となりました。

 贈呈式は11月18日(火)に行われ、桂勲研究所長より表彰状と記念品が授与されました。

平成26年度表彰者一覧(日本学術振興会)

実験圃場・野々村研究室

2014/11/17

城ノ内宿舎跡地売却に係る一般競争入札の結果公表について

「静岡県三島市谷田城ノ内所在不動産(土地)売却」の入札の結果を別紙の通り公表します。

別紙

2014/11/11

不完全な中心体がかき乱す細胞分裂 〜新しい染色体不安定化機構の提示〜

中心体生物学研究室・北川研究室

RBM14 prevents assembly of centriolar protein complexes and maintains mitotic spindle integrity

Shiratsuchi, G., Takaoka, K., Ashikawa, T., Hamada, H., and Kitagawa, D The EMBO Journal (2014) embj.201488979, Published online 10.11.2014; DOI:10.15252/embj.201488979

細胞が自らの遺伝情報を子孫に正確に伝えるには、細胞分裂の際に遺伝情報を収めた染色体を均等に分配する必要があります。多くの動物細胞では、微小管という繊維で作られた紡錘体と呼ばれる構造が二つの極にそれぞれ染色体を引っ張っていくのですが、それを可能にするためには、微小管を形成する極として働く細胞小器官、中心体が一回の細胞周期に一回だけ複製されなければなりません。

実は細胞の中には中心体を複数個作るのに十分な材料が存在しているのですが、普通の細胞ではここから余計な中心体が作られることはありません。しかし、ひとたび既存の中心体が外的要因などで失われると、未知の制御機構によって細胞内のあちらこちらで大量に中心体蛋白質の塊が生じ、やがて完全な中心体に置き換わることが知られていました。

今回、私たちはヒトやマウスの細胞において、中心体蛋白質STILと結合するRBM14という蛋白質を減らすことで、既存の中心体が健在であっても、それに似た現象が起こることを発見しました。このとき大量に生み出される中心体蛋白質の塊は構造的に不完全なものですが、微小管を作り出す力は部分的に保持しています。こうした細胞が分裂を始めると異常な紡錘体が形成されて、細胞の癌化などに繋がる危険をはらんだ染色体分配の乱れを生じてしまいます。

一般に癌細胞では中心体の過剰な増加が見られることが知られていますが、一方で完全な活性を持った中心体の増加はむしろ紡錘体の形成に致命的で、多くの場合細胞の死を招くとも考えられています。これまで多くの癌細胞で特に疑いもなく過剰な中心体だとされていたものの中には、もしかするとこのような不完全な中心体が含まれているかもしれません。実際RBM14は以前に癌抑制遺伝子としての可能性が指摘されています。通常の中心体複製機構と異なったこのような制御機構が細胞癌化等に関連があるかどうか、今後の解析が待たれるところです。

本研究は大阪大学生命機能研究科、発生遺伝学研究室の浜田博司教授、高岡勝吉助教との共同研究として行われました。

Figure1
2014/11/10

オーキシンデグロン(AID)法を応用した細胞自死システムの開発

分子機能研究室・鐘巻研究室

A cell suicide module: Auxin-induced rapid degradation of Inhibitor of Caspase Activated DNase (ICAD) induces apoptotic DNA fragmentation, caspase activation and cell death

Kumiko Samejima, Hiromi Ogawa, Alexander V. Ageichik, Kevin L. Peterson, Scott H. Kaufmann, Masato T. Kanemaki and William C. Earnshaw The Journal of Biological Chemistry, 298, 31617-31623, 2014.; DOI:10.1074/jbc.M114.583542

典型的アポトーシスではカスパーゼと総称される蛋白分解酵素がシグナル伝達およびその実行に中心的役割を果たします。そしてそのカスパーゼの基質のひとつであるインヒビター結合因子ICADの切断がCaspase-activated DNase (CAD)を活性化し、アポトーシスの特徴の一つであるゲノムDNAの断片化とゲノムの凝縮を誘導します。しかしながら、正常の細胞内で、アポトーシスの経路の中で下流に位置するICADの分解のみでCADを活性化できるのか、またアポトーシスが誘導できるかどうかは不明でした。この疑問に答えるため、オーキシン誘導デグロン(AID)法を利用して、DT40細胞内でICADの量を自在にコントロールできる細胞株を作製しました。オーキシン添加により細胞内のICADを急速に分解すると、実際にCAD及びカスパーゼが活性化され、アポトーシスが誘導されました。つまり、ICAD分解又はCADの活性化がフィードバックループによりアポトーシスを誘導するのに十分であることを示しました。また、細胞死は出芽酵母においても誘導することが可能でした。作製したICAD分解による人為的細胞死の誘導システムは、様々な真核細胞において機能することが期待され、将来の遺伝子改変生物の拡散を防ぐ手段として利用できる可能性があると考えられます。

本研究は英国エジンバラ大学の鮫島久美子博士、William Earnshaw教授/遺伝研客員教授との共同研究として行われました。

Figure1

オーキシン添加によるICAD分解により、細胞死を誘導した(a3)。その際にはゲノムDNAの断片化が起こっていることが確認された(b)。

2014/11/04

集団遺伝研究部門 斎藤教授の論文が、natureの特集記事で紹介されました

The top 100 papers, nature

集団遺伝研究部門 斎藤成也教授が、米国留学で取得された博士論文をもとにMolecular Biology and Evolution誌に発表した論文”The neighbor-joining method — a new method for reconstructing phylogenetic trees” (Saitou and Nei, 1987) が、過去ISI科学雑誌natureの”The top 100 papers”という特集記事で紹介されました。 “The top 100 papers”では、1900年から現在までに発表された論文のうち、被検索数の多かった論文Top100のランキングを、Thomson ReuterのWeb of Scienceのデータを使って紹介しています。多くの著名な論文がランキングされている中、斎藤教授の論文は20位にランクされています。記事内では、「斎藤成也教授の功績により、情報があふれだしていた人類進化と分子遺伝学分野の研究手法が開発された。」と紹介されています。

http://www.nature.com/news/the-top-100-papers-1.16224

集団遺伝研究系集団遺伝研究部門・斎藤研究室


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