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2021/11/26

生態遺伝学研究室の細木拓也さんが研究発表賞を受賞

大槌町で調査中の細木拓也さん
大槌町で調査中の細木拓也さん

 生態遺伝学研究室の細木拓也さんが、2021年11/20に開催されたオンラインでの日本生態学会中部地区大会にて、研究発表賞を受賞しました。総研大の博士課程で実施している大槌の新規イトヨ集団に関する研究成果について「2011年東北震災後に出現したトゲウオ雑種集団における再種分化」の題目で発表しました。


   
2021/11/26

国際塩基配列データベースへの登録方針と意見収集について

生命情報・DDBJセンターからお知らせします。
国際塩基配列データベース・コラボレーション(INSDC) は、2022年末までに新しく登録される全ての塩基配列にサンプルが取得された場所と時間が記載されるようになることを目指しています。ユーザの皆様は、塩基配列を日常的に登録している INSDC メンバーにフィードバックをお寄せいただければ幸いです。

リンク:https://www.insdc.org/spatio-temporal-annotation-policy-18-11-2021

2021/11/22

第4回「寺deサイエンス」を開催:12月17日(金)

日  時: 令和3年12月17日(金)19:00~21:00

収録場所: 君澤山 蓮馨寺(三島市広小路町1-39)

内  容:

 第1部:生物はどうして死ぬのか?
  講演:小林武彦(遺伝学普及会共同代表理事、東京大学教授)
 第2部:新型コロナウイルスの変異株と進化
  講演:五條堀孝(遺伝学普及会共同代表理事、KAUST特別栄誉教授)
 第3部:コロナとサイエンス-研究、仕事、日常はどうかわったか?
  鼎談:斎藤成也(遺伝学普及会理事、国立遺伝学研究所教授)× 小林武彦 × 五條堀孝

対  象: サイエンスに関心のある一般の方 

定  員: 500人(Zoomでのライブ配信参加)、20人(収録場所での参加)
     12/15(水) 正午 申込〆切(先着順)

参 加 費 : 無料(Zoomでのライブ配信参加)、1000円(収録場所での参加)

お 申 込 : 専用フォーム

特 設 HP: 遺伝学普及会ページ


【問い合わせ】
〒411-8540 三島市谷田1111
公益財団法人遺伝学普及会
TEL:055-981-6857、 FAX:055-981-6877
Email:genetics@nig.ac.jp
2021/11/09

クロマチンの持つ固体と液体の性質

前島研究室・ゲノムダイナミクス研究室

The solid and liquid states of chromatin.

*Jeffrey C. Hansen, *Kazuhiro Maeshima, *Michael J. Hendzel. (*責任著者)

Epigenetics & Chromatin (2021) 14, 50 DOI:10.1186/s13072-021-00424-5

真核細胞内のクロマチンは、DNA、ヒストンと様々な関連タンパク質からなる、負に帯電した長いポリマーです。クロマチンは強く帯電していて不均一なため、その構造は化学修飾やタンパク質の量などの様々な因子や、陽イオンなどの周囲の環境に応じて、10 nm線維から折りたたまれた30 nm線維、相分離による凝集体・液滴まで大きく変化します。現在、このクロマチンの核内のorganizationと物質状態が活発に研究されています。米国・コロラド州立大学のJeffrey C. Hansen教授、遺伝研・ゲノムダイナミクス研究室の前島一博教授、カナダ・アルバータ大学Michael J. Hendzel教授は共同でEpigenetics & Chromatin誌に包括的な総説論文を執筆しました。総説では、クロマチン相分離の歴史、その決定要因とメカニズムについて詳述しました。また、In vitroおよび核内におけるクロマチンのorganizationにおけるクロマチン自己相互作用の役割の重要性を指摘しています。さらに、ヘテロクロマチンとユークロマチンの成分であるタンパク質の相分離、および核内のクロマチンがナノスケールで液体として、メゾスケールで固体として振る舞うという新たな概念について議論しています。 本総説はEpigenetics & Chromatin誌のハイライト論文として出版されました。

前島教授は日本学術振興会 (JSPS) 及び文部科学省科研費 (20H05936, 21H02453)、武田科学振興財団、上原記念生命科学財団の支援を受けました。

Figure1
図:さまざまなcondensate(凝集体)がさまざまなクロマチンでどのようにorganizeされているかを示す模式図。 オレンジ色の線はクロマチンを表している。 クロマチンはメソスケールでは固体のように見え、ナノスケールでは液体のように振る舞う。これはクロマチンの粘弾性特性と一致している(右上)。 黒い矢印はアクティブな転写開始部位を示し、緑色の波線はRNAを示している。
2021/11/08

半数体生物の性染色体上の性決定遺伝子を解明
―コケがもつ現生生物最古の起源の性染色体―

Figure1

Identification of the sex-determining factor in the liverwort Marchantia polymorpha> reveals unique evolution of sex chromosomes in a haploid system

M. Iwasaki, T. Kajiwara, Y. Yasui, Y. Yoshitake, M. Miyazaki, S. Kawamura, N. Suetsugu, R. Nishihama, S. Yamaoka, D. Wanke, K. Hashimoto, K. Kuchitsu, S. A. Montgomery, S. Singh, Y. Tanizawa, M. Yagura, T. Mochizuki, M. Sakamoto, Y. Nakamura, C. Liu, F. Berger, K. T. Yamato, J. L. Bowman, T. Kohchi

Current Biology 2021 November 03 DOI:10.1016/j.cub.2021.10.023

プレスリリース資料

京都大学大学院生命科学研究科の岩崎美雪氏(博士後期課程学生)、梶原智明氏(博士後期課程学生)、安居佑季子准教授、吉竹良洋助教、山岡尚平准教授、河内孝之教授らの研究グループは、東京理科大学理工学部応用生物科学科の西浜竜一教授、朽津和幸教授、国立遺伝学研究所中村保一教授、近畿大学生物理工学部大和勝幸教授らの研究グループおよびオーストリア・ドイツ・オーストラリアの研究グループとの国際共同研究により、半数体において性別が決まるコケ植物のゼニゴケから性決定遺伝子を同定しました。

性染色体と性決定因子の研究は二倍体生物(例えばXYがオス、XXがメスになる哺乳類)で進んでいますが、遺伝的な振る舞いが大きく異なる半数体生物における性染色体上の性決定遺伝子は不明でした。今回、生活環の大半を半数体で過ごす苔類ゼニゴケのメスの性染色体の一次構造を染色体レベルで明らかにし、更にメスの性染色体上の遺伝子機能解析の実験から雌性化遺伝子(フェミナイザー)を同定しました。フェミナイザーはオスのゼニゴケをメスに転換する能力をもちます。更に、この遺伝子は有性生殖を誘導する役割も有しており、この機能はオスの性染色体に存在する相同遺伝子と共通していました。これは二倍体生物の性決定遺伝子が性決定に特化した機能をもつこととは対照的です。また、今回同定したフェミナイザー遺伝子はこれまでに知られるどの性決定遺伝子よりも起源が古く、苔類が地球に出現した4億3000万年前に性染色体が誕生していたことを示しました。

本研究は、日本学術振興会 科学研究費補助金 基盤研究(S)(17H07424、代表河内孝之)、日本学術振興会 二国間交流事業 二国間共同研究(JSBP120192003、代表河内孝之)、先進ゲノム支援(16H06279)等により支援されました。

本成果は2021年11月3日に国際誌「Current Biology」にオンライン掲載されました。

遺伝研の貢献
中村研究室では谷澤靖洋助教が中心となって、ゼニゴケのメス株・特に今回の発見にとって重要なU染色体を対象として、遺伝研スパコンによる高精度な遺伝子の解析を実施しました。解析結果は遺伝研で開発されたゼニゴケゲノムデータベース Marpolbase 上で広く公開します

Figure1
図: 今回の研究のイメージ図
ゼニゴケは性染色体をもつ雌雄異株植物である。今回は、メス性染色体上の性決定遺伝子フェミナイザーBPCUを同定した。この遺伝子はメスとしての性分化を誘導する。予想外なことにオス性染色体に相同遺伝子BPCVが存在し、BPCUとBPCVは共に、生殖成長の誘導機能を持っていた。
2021/11/01

NIESカルチャーコレクションのシアノバクテリアの網羅的かつ高精度なゲノム解析に成功

Figure1

Genome sequencing of the NIES Cyanobacteria collection with a focus on the heterocyst-forming clade

Y. Hirose, Y. Ohtsubo, N. Misawa, C. Yonekawa, N. Nagao, Y. Shimura, T. Fujisawa, Y. Kanesaki, H. Katoh, M. Katayama, H. Yamaguchi, H. Yoshikawa, M. Ikeuchi, T. Eki, Y. Nakamura, M. Kawachi

DNA Research 2021 Oct 22 DOI:10.1093/dnares/dsab024

プレスリリース資料

シアノバクテリアは酸素発生型光合成を行う細菌の一種です。シアノバクテリアは植物の葉緑体の起源であり,光合成反応の基礎研究やバイオマス生産等の応用研究,さらに地球の物質循環などの生態学的研究においても注目されています。シアノバクテリアの中には,異型細胞(ヘテロシスト)と呼ばれる,窒素固定反応を専門に行う細胞を作るグループが存在します。このグループはゲノムサイズが大きく,他のグループと比べて精度の高いゲノム情報の整備が遅れていました。

豊橋技術科学大学の広瀬侑助教らは,国立環境研究所(NIES)の河地正伸室長,国立遺伝学研究所の中村保一教授らと国内6大学の研究者との共同研究により,NIESが保管する28株のヘテロシスト形成株と3株の非形成株,あわせて31株のシアノバクテリアの高精度なゲノム情報の整備に成功しました。

ゲノム解析株はNIESカルチャーコレクション(国立環境研究所 微生物系統保存施設),ゲノム情報は国立遺伝学研究所の参画する国際データベースをそれぞれ通じて全世界に公開されています。

本研究により,シアノバクテリアの多様性の理解と,それを活用した基礎・応用研究の進展が期待できます。なお本研究は,文部科学省ナショナルバイオリソースプロジェクトのゲノム情報等整備プログラムの一環として行われました。

本研究成果は、英国科学雑誌「DNA Research」に2021年10月22日に掲載されました。

遺伝研の貢献
ゲノム塩基配列からの遺伝子領域の予測と機能アノテーションを、中村研究室で開発した微生物アノテーションパイプライン DFAST を用いて実施しました。その際の参照データベースとして同研究室で開発した藍藻ゲノムデータベースCyanoBase の情報を活用しました。

本研究は、文部科学省ナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)の支援(ゲノム情報等整備プログラム、課題名「NIESコレクションのシアノバクテリアのゲノム情報整備」)を受けて行われました。

Figure1
図: ゲノム解析を行った31株のシアノバクテリアの系統関係
2021/11/01

11月1日付で助教が着任

2021/11/01

大量遺伝情報研究室が株式会社アンプラットと共同で猫ゲノムDB「Cats-I」の共同研究を開始

 この度、国立遺伝学研究所 大量遺伝情報研究室 中村保一 教授のグループは、猫ゲノムインフォマティクスDB「Cats-I」の開発プロジェクトにおいて、株式会社アンプラット(本社:神奈川県川崎市、代表取締役:三澤拓真)と2021年11月より共同研究を開始いたしました。


▶ 詳細につきましては こちらのプレスリリース をご覧ください。


大量遺伝情報研究室 について
 次世代型高速シーケンサ(NGS)の技術革新により、多くの研究者によって大量の塩基配列データが解読されるようになりました。情報研究系 大量遺伝情報研究室では「生命科学は今や情報学である」と考え、遺伝研スパコンを駆使し、あらゆる種類の生物種を対象として塩基配列情報の高精度なアセンブルやマッピング、品質の良い塩基配列の解釈(アノテーション)の実施、使い勝手の良いゲノム情報提供データベースの作成などに取り組んでいます。


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