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2014/10/27

細胞分裂を正しく導く中心体 ─複製が1コピーに限られる仕組みを解明─

Press Release

Direct interaction of Plk4 with STIL ensures formation of a single procentriole per parental centriole

Midori Ohta, Tomoko Ashikawa, Yuka Nozaki, Hiroko Kozuka-Hata, Hidemasa Goto, Masaki Inagaki, Masaaki Oyama and Daiju Kitagawa Nature Communications 5, Article number: 5267 DOI:10.1038/ncomms6267

プレスリリース資料

 細胞分裂時には染色体が分かれ、新たに生じた2つの細胞それぞれに分配されます。均等になるように染色体が移動していくのですが、それにはどのような仕組みが働いているのでしょうか?実は糸のような微小管が伸びてきて、染色体を引っ張り移動させているのです。その微小管が伸びる起点となるのが、中心体と呼ばれる細胞内小器官です。

 中心体は100年以上前に発見されていましたが、その構築メカニズムはこれまであまり分かっておらず、近年爆発的に分子的な解明が進んできた小さな細胞内器官です。通常、1つの細胞に中心体は1つしかありません。しかし、細胞分裂時には複製されて2つになり、対極に分かれて染色体を引っ張ることで、細胞分裂は正しく行われます。もし余分に複製されることがあると染色体を適切に分配することができませんから、細胞分裂に支障が出て、がんなどの病気が引き起こされかねません。

 今回の研究では、中心体複製の開始段階における分子の働きを、世界に先駆けて明らかにすることができました。そしてその解析を基に、余分な中心体の複製を防ぐ制御機構を、理論的にモデル化しました。

 中心体は柱状の部品(中心小体)2個から構成されています。細胞分裂時には、この2個が母中心小体となり、それぞれに娘中心小体を1個作ります。この際の顕微鏡写真を解析したところ、娘中心小体の形成前にはまず、母中心小体の周囲に中心小体形成促進因子が多数集まること、そのうちの1箇所だけに娘中心小体が形成され、他の分子は壊されてしまうことが明らかになりました(図)。娘中心小体の形成が1箇所に限定されることが、中心体の複製を1コピーに限定する、というモデルが得られたのです。

 今後は、中心体複製に関与する分子の量的関係性などからこのモデルを実証する計画です。中心体複製の数の異常は、がんや遺伝病、男性不妊に関係し、これらの成果は治療や医薬品開発に役立つと期待されます。2014

Figure1

娘中心小体の形成が1個に限定されるモデル

2014/10/17

集団遺伝研究部門 斎藤教授がフランス、トゥールーズ大学の名誉博士号を授与されました

 集団遺伝研究部門 斎藤 成也教授は「Docteur Honoris Causa(名誉博士号)」を授与されました。名誉博士号の授与記念式典は10月8日にフランス、トゥールーズで開催されました。
 トゥールーズ第三大学はヨーロッパの最も古い大学の一つで1229年に設立された伝統ある大学です。1912年にヴィクトル・グリニャールと共にノーベル化学賞を受賞したポール・サバティエの名を冠してPaul Sabatier University ともいいます。
 今回は ベルギー、アメリカ、スペインの方が同時に授与されています。
 

集団遺伝研究部門・斎藤研究室

斎藤教授

斎藤教授

Docteur Honoris Causa

授与されたDocteur Honoris Causa

2014/10/15

初期発生研究部門 博士研究員 LALさんが受賞

右端:受賞のLAL博士研究員

写真右:受賞のLAL博士研究員

受賞したBestPosetrAward

受賞したBestPosetrAward

9月20-21日、慶應義塾大学にて開催されました小型魚類研究会において、個体遺伝研究系初期発生研究部門 博士研究員 Pradeep Lal さん が poster award を受賞しました。

初期発生研究部門・川上研究室


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