新年に入り、全国的にオミクロン株による感染が急速に広がっています。WHOをはじめ世界各地の公的機関からの報告によって、この変異株はスパイクタンパク質に30カ所以上の変異があり、デルタ株と比較して感染力が最大3倍強い、一方、病原性については、肺炎を起こすなどの重症化リスクは極めて低い、またワクチンを2回接種した人でも感染する例がしばしばみられる、といった特徴が明らかにされてきています。病原性が高くないとしても、感染者が多くなれば当然、一定の割合で重症化する人が増えるので、警戒は必要です。ただ、3回目のワクチン接種の開始やこれまでは十分でなかった抗体カクテル療法や経口薬が使用できる状況になってきたことなど明るい材料もあります。
静岡県においては、1/11の時点で国評価レベル2(レベル4が最高)となっていますが、今後の感染状況の変化によって、レベル改訂の可能性は十分に考えられます。このような状況における研究所の対策レベルは下記の通りに定め、オミクロン株による急激な感染拡大を抑制するためにも、感染リスクを回避する行動を徹底します。
これまでの感染防止対策を継承した「遺伝研感染対策5つの基本」
〇マスク着用の徹底
〇換気の実施
〇手指消毒
〇健康観察
〇会食は黙食
研究所の各対策
在宅勤務の推奨。オンラインでの打合せ等を活用。時差通勤するなど感染拡大防止に最大限配慮。
研究指導・研究打合せや講義について対面とオンラインの併用。
対面会議を開催する場合は、感染拡大防止に最大限配慮。
出張及び外勤を行う前2週間、出張及び外勤中、出張及び外勤後2週間の健康観察の実施。
来所者(納品業者等の短時間の来所者を除く)へのお願いとして、来所前2週間及び来所中は健康観察結果を健康観察票に記録するよう依頼。入館時のマスク着用及び手指消毒など、「遺伝研感染対策5つの基本」を遵守するよう依頼。
これまで新型コロナウイルスによる感染は、接触による感染、唾液などの飛沫による感染が主要な経路とされていましたが、最近の研究では空気感染により感染が成立していると考えられています。また、ワクチン接種後も感染が成立する、いわゆるブレークスルー感染が顕在化し、ワクチン接種による感染防御が困難であることが明らかになってきています。そしてこのウイルス感染症の特徴は、感染後発症前から他人に移す可能性があること、感染していても無症状な場合があることです。すなわち自らが感染者になっていてもすぐにはわかりません。
今後も感染を拡大させないためにも、「人にうつさない」、「人からうつされない」、「自分が感染しているかもしれない」という意識を強く持ち、マスク着用の徹底はもとより、部屋の換気、手指消毒など、これまで同様の感染拡大防止措置が必要です。
2022年01月17日
情報・システム研究機構
国立遺伝学研究所長
花岡 文雄
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