2025/10/27

一本鎖DNA切断、がんの引き金に──コピー数異常を生む仕組み発見

Rad27/FEN1 prevents accumulation of Okazaki fragments and ribosomal DNA copy number changes
(Rad27/FEN1は岡崎フラグメントの蓄積とリボソームDNAコピー数の変化を防ぐ)

Tsugumi Yamaji, Yuko Katayama, Nanase Arata, and Mariko Sasaki(山地つぐみ、片山優子、荒田七星、佐々木真理子=責任著者)

FEBS Letters  2025 DOI:10.1002/1873-3468.70193

プレスリリース資料

遺伝子のコピー数の異常は、がん発症の主要な原因のひとつです。遺伝情報が記録された二本鎖DNAが切断されることで、遺伝子のコピー数が変化することは知られていましたが、それ以外の仕組みは長く分かっていませんでした。本研究では出芽酵母(1)を用いて、DNAの複製(2)に重要な酵素のコード遺伝子Rad27(ヒトでの名称はFEN1)が、リボソームRNA遺伝子(rDNA)(3)のコピー数を安定に保つ役割を担うことを明らかにしました。Rad27がないと、DNA複製中に作られるDNAの短い断片「岡崎フラグメント」(4)が処理されずに残り、一本鎖DNA切断(5)の断片が蓄積し、その結果rDNAのコピー数が乱れることが分かりました。この研究成果は、がん細胞で頻発するDNAコピー数異常の仕組みを明らかにし、がん化する過程の理解につながることが期待されます。


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