Press release
NeuroGT: A brain atlas of neurogenic tagging CreER drivers for birthdate-based classification and manipulation of mouse neurons
T Hirata*, Y Tohsato, H Itoga, G Shioi, H Kiyonari, S Oka, T Fujimori, S Onami *Corresponding author/責任著者
Cell Reports Methods 1, 100012 (2021) DOI:10.1016/j.crmeth.2021.100012
動物の発生過程では、多くの神経領域において個性の異なる神経細胞が異なるタイミングで発生することが知られています。情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所の平田たつみ教授は、マウスにおいて神経細胞の発生タイミング(神経細胞の「誕生日」)の違いを利用して細胞特異的に遺伝子組換えを誘導する「誕生日タグづけ法」を開発しました。誕生日タグづけ法によって、神経細胞の分類と分類した細胞の実験操作が可能になりました。
今回、誕生日タグづけ法を用いる上で必要となる、マウス系統のカタログ的な全脳切片画像のデータベース 「NeuroGT (Brain Atlas of Neurogenic Tagging Mouse Lines)」 を公開しました。本データベースでは、タグづけされた神経細胞の細胞体や軸索が脳切片上で可視化されており、脳全体を前後軸に沿って見渡しながら、特定の脳領域をズームアップして極めて高解像度で観察できます。
個々の研究者が本データベースにアクセスし、自らの研究目的に適したマウス系統やタグづけステージを選び出し、そのマウス系統をバイオリソースセンターから取り寄せて自身の研究に利用することで、各研究への貢献が期待できます。
本データベースは、マウス発生工学(理化学研究所 生命機能科学研究センター 生体モデル開発チーム)、神経科学(国立遺伝学研究所 平田研究室)、イメージング(基礎生物学研究所 藤森研究室)、画像情報処理(立命館大学 遠里研究室、理化学研究所 生命機能科学研究センター 発生動態研究チーム)など専門の異なる研究グループが連携して開発しました。
本データベースは、ROIS未来投資型プロジェクト、科研費研究成果公開促進費(データベース、19HP7002)の支援を受けて作成及び公開しました。切片画像の高解像度デジタル化については、先端バイオイメージング支援プラットフォーム(ABiS)の支援を受け (JP16H06280)、平田(20H03345)と大浪(JP18H05412)に対する科研費の支援も受けています。
本研究成果は、米国科学雑誌「Cell Reports Methods」に2021年5月25日(日本時間)に掲載されました。
図: 脳画像データベース「NeuroGT」の概念図
動画: 上部のスライダーを操作することで、切片のサムネイル画像を脳の前後軸に沿って動かしながら観察できる。膜移行型mGFPレポーターと核移行型βGALレポーターを用いた染色は異なるスタックになっており、上部の「sync」ボタンを押すことで両方のスタックの切片位置を揃えることができる。