2024/07/31

なぜこれだけ多くの仕組みが必要なのか?
〜ゲノム刷り込みの多層的な制御機構の解明〜

Multi-layered epigenetic control of persistent and stage-specific imprinted genes in rice endosperm

Kaoru Tonosaki, Daichi Susaki, Hatsune Morinaka, Akemi Ono, Hiroki Nagata, Hiroyasu Furuumi, Ken-Ichi Nonomura, Yutaka Sato, Keiko Sugimoto, Luca Comai, Katsunori Hatakeyama, Taiji Kawakatsu, Tetsu Kinoshita

Nature Plants 2024 July 30 DOI:10.1038/s41477-024-01754-4

プレスリリース資料

横浜市立大学木原生物学研究所の殿崎薫助教と木下哲教授、農研機構の川勝泰二上級研究員、国立遺伝学研究所、理化学研究所、アメリカ・カリフォルニア大学デイビス校、岩手大学との国際共同研究グループは、イネの胚乳発生段階や細胞の種類によって異なるゲノム刷り込み(ゲノムインプリンティング)の仕組みが存在することを明らかにしました。

本研究では、イネの胚乳における時系列マルチオミクス解析から、発生の進行過程で多数の刷り込み遺伝子(インプリント遺伝子)を同定し、全てのステージに持続的なインプリント遺伝子と、発生ステージ特異的なインプリント遺伝子が存在することを突き止めました(図)。さらにシングルセル解析から、細胞の種類によってもインプリント遺伝子の制御が異なることを示唆する結果を得ることに成功しました。極めて複雑に制御されるゲノムインプリンティングの制御メカニズムの全容解明や、植物の種子形成過程におけるインプリント遺伝子の機能解明に関する研究への進展が期待されます。

本研究は、科研費補助金学術変革領域(A) 「挑戦的両性花原理」、若手研究、横浜市立大学学長裁量事業 第5期戦略的研究推進事業「研究開発プロジェクト」などの支援を受けて実施されました。

本研究成果は、「Nature Plants」誌に掲載されます(英国夏時間2024年7月30日10時)。

図: 胚乳発生過程で異なる発現様式を示すインプリント遺伝子とその制御機構。
持続的インプリント遺伝子とステージ特異的インプリント遺伝子ではエピゲノム状態が異なる。


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