2024/06/13

「魚のヒレ」 長かったり、短かったり⁉ 仕組みを解明
―ヒレの多様な形成位置をもたらす単純なシステム―

プレスリリース

川上研究室・発生遺伝学研究室
技術課 / 細胞建築研究室

Teleost Hox code defines regional identities competent for the formation of dorsal and anal fins

Urara Adachi, Rina Koita, Akira Seto, Akiteru Maeno, Atsuki Ishizu, Sae Oikawa, Taisei Tani, Mizuki Ishizaka, Kazuya Yamada, Koumi Satoh, Hidemichi Nakazawa, Hiroyuki Furudate, Koichi Kawakami, Norimasa Iwanami, Masaru Matsuda, and Akinori Kawamura

PNAS (2024) 121, e2403809121 DOI:10.1073/pnas.2403809121

プレスリリース資料

埼玉大学大学院・理工学研究科・生体制御学プログラム 川村哲規 准教授と安達うらら 大学院生(令和5年度博士前期課程修了)を中心とするグループは、宇都宮大学・バイオサイエンス教育研究センター 松田 勝 教授、岩波礼将 特任准教授、情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所 川上浩一 教授、前野哲輝 技術専門職員、埼玉大学・理工学研究科 古舘宏之 助教らと共同で、魚のヒレの形成される位置がHox(ホックス)遺伝子によって制御されていることを初めて明らかにしました。この成果により、Hox遺伝子の働く場所が魚の種類によって異なることで、バラエティーに富んだヒレが生み出されることが示唆されました。つまり、多様なヒレの位置やヒレの幅の違いは、Hox遺伝子からなるシステムを一部、変化させることで生じていることが分かりました。さらに、本研究から、進化の過程で、魚のヒレの形成位置が変化してきた仕組みについて、新たなモデルが提唱されました。

本研究は、科学研究費補助金 基盤研究(C)18K06177, 23K05790および国立遺伝学研究所公募型共同研究「NIG-JOINT」38A2019, 7A2020, 66A2021, 18A2022, 31A2023の支援を受けて行われました。

本成果は、『米国科学アカデミー紀要』(PNAS、インパクトファクター12.8)に掲載されました。

図:背ビレと臀ビレの形成されるからだの領域を規定するHox遺伝子
色で示すように、背ビレや臀ビレが形成される魚のからだの領域が、複数のHox遺伝子によって区分されている(図:上)。Hox遺伝子の働く場所は、前後にシフトすることが知られている。Hox遺伝子の働く場所が、パラメーターのように変化することで、形成位置や長さが大きく異なったヒレが生じることが示された。(図:中央、下)

  • マイクロCTが本研究の基盤の一つになっています。フェノタイプ研究推進センターでは研究者コミュニティ向けに、本技術を用いた撮影支援を受益者負担の受託型事業として提供しています。

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