テロメアの近くで起こる組換えとシナプシスの関係

Sycp1 Is Not Required for Subtelomeric DNA Double-Strand Breaks but Is Required for Homologous Alignment in Zebrafish Spermatocytes

Yukiko Imai, Kenji Saito, Kazumasa Takemoto, Fabien Velilla, Toshihiro Kawasaki, Kei-ichiro Ishiguro and Noriyoshi Sakai

Front Cell Dev Biol 9, 664377 (2021) DOI:10.3389/fcell.2021.664377

“性”を持つ生き物は、減数分裂によって精子や卵などを作り、次世代を生み出します。減数分裂では、父親と母親それぞれに由来する相同染色体が“組換え”によって切り貼りされ、遺伝情報の混ぜ合わせが起こります。ヒトやゼブラフィッシュのオスでは、組換えが染色体末端(テロメア)近傍で起こりやすいことが知られていますが、このような極性を持った組換えが起こる仕組みはわかっていません。

本研究では、相同染色体間の物理的な接着(シナプシス)がテロメア近傍での組換えに果たす役割を、ゼブラフィッシュを用いて解析しました。その結果、シナプシスが起こらないゼブラフィッシュでも、テロメア近くで組換えが始まり、これらの領域では相同染色体が近づく“ペアリング”が見られました。しかしながら、ペアリングの多くはその後失われてしまい、精子も作られませんでした。つまり、シナプシスはテロメア近くで組換えの開始には重要ではありませんが、正常に終わらせるために必要であることがわかりました。

テロメア近傍での組換えはヒトの男性にも見られる特徴ですが、ヒトをモデルとした減数分裂の研究は難しいのが現状です。類似した特徴を持つゼブラフィッシュを解析することで、不妊や遺伝的疾患の理解にもつながる減数分裂のメカニズムが明らかになると期待されます。

Figure1

図:野生型ゼブラフィッシュのオスでは、テロメア近傍のDNA切断により組換えが始まる。ザイゴテン期には、シナプシスがテロメア近傍から始まり、パキテン期には相同染色体が完全にペアリングする。sycp1変異体では、テロメア近傍でDNA切断と局所的なペアリングが起こるが、完全なペアリングは起こらない。


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