大脳皮質の神経細胞が秩序正しく配置するしくみ

Press Release

Memo1 Mediated Tiling of Radial Glial Cells Facilitates Cerebral Cortical Development

Naoki Nakagawa, Charlotte Plestant, Keiko Yabuno-Nakagawa, Jingjun Li, Janice Lee, Chu-Wei Huang, Amelia Lee, Oleh Krupa, Aditi Adhikari, Suriya Thompson, Tamille Rhynes, Victoria Arevalo, Jason L. Stein, Zoltán Molnár, Ali Badache, E. S. Anton

Neuron Published:July 02, 2019 DOI:10.1016/j.neuron.2019.05.049

プレスリリース資料

哺乳類の大脳皮質では、神経細胞の層構造が高度な情報処理に重要です。この層構造の形作りには、胎児期において、神経細胞の生みの親である神経幹細胞が重要な役割を果たします。神経幹細胞が伸ばす放射状突起が「ガイド役」として、神経細胞の移動に使われるのです。放射状突起は、それぞれの神経幹細胞から一本ずつ出ていて、互いに交わらず、脳表面に向かって等間隔に伸びています。この放射状突起が層構造づくりの「足場」の役割を果たすのです(図)。しかしながら、この「足場」がつくられるしくみはよくわかっていませんでした。

情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所の中川直樹助教らと米国ノースカロライナ大学Eva S. Anton博士らの共同研究グループは、マウスを用いた研究で、層構造の「足場」作りに関与する遺伝子を明らかにし、層構造が作られるしくみの一端を明らかにしました。 細胞骨格の制御因子のMemo1遺伝子をマウスでノックアウトすると、神経幹細胞が伸ばす突起が過剰に枝分かれしたり、間隔にばらつきが生じたりして、「足場」が不完全になったのです。このため、神経細胞の動きが乱れて、結果として神経細胞の移動が異常になり、神経細胞の層構造に乱れが生じました。

神経幹細胞が規則的に配列し、神経細胞層づくりの足場となるためには、Memo1遺伝子が重要だったのです。

本研究は、科研費(19K16281)、早石修記念海外留学助成、米国国立衛生研究所研究費、North Carolina大学IDDRC研究費の支援を受けて実施されました。

Figure1

図:神経幹細胞の放射状突起にみられる等間隔配列と神経細胞層の構築
(上)胎児期の大脳皮質では、神経幹細胞は脳室を覆うシートのように局在し、それぞれ一本の放射状突起を脳表面まで伸ばしている。各神経幹細胞の放射状突起は互いに交わらず、等間隔を維持している(タイリング)。神経細胞は、等間隔に並んだ放射状突起の「足場」に沿って移動することで、規則的な層構造を構築する。
(下)今回の研究で明らかとなった、Memo1遺伝子の働きを示した模式図。Memo1の機能が無いことで、放射状突起の過剰な枝分かれと間隔のばらつきが生じ、神経細胞層の乱れにつながると考えられる。


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