ゼブラフィッシュを用いて腸の腫瘍が肝臓に作用するメカニズムを解明

A novel zebrafish intestinal tumor model reveals a role for cyp7a1-dependent tumor-liver crosstalk in tumor’s adverse effects on host

Sora Enya, Koichi Kawakami, Yutaka Suzuki, Shinpei Kawaoka

Disease Models & Mechanisms (2018) DOI:10.1242/dmm.032383

癌(悪性腫瘍)が個体の全身に悪影響を与える仕組みを明らかにするため、後腸特異的にGal4を発現しているトランスジェニックゼブラフィッシュを用いて、後腸に発癌性RAS遺伝子(krasG12D変異)を発現させ、後腸腫瘍モデルの作製に成功しました。この後腸腫瘍モデルゼブラフィッシュは、肝臓の肥大や炎症、全身の成長阻害、個体の死など様々な異常を示しました。これはマウス癌モデルやヒト癌患者でも観察されるものです。この後腸腫瘍モデルフィッシュを解析し、後腸の腫瘍が肝臓のコレステロール−胆汁代謝の異常を介して肝臓に炎症を引き起こすことを明らかにしました。さらにコレステロール代謝酵素遺伝子cyp7a1の過剰発現による炎症の抑制が観察されました。このように本ゼブラフィッシュモデルは、癌が肝臓に悪影響を与えるメカニズムの理解や、生体・臓器への影響を制御しながら癌と共存できる治療法の開発につながることが期待されます。本研究は、国際電気通信基礎技術研究所(ATR)河岡慎平グループリーダー、東京大学鈴木穣教授との共同研究として行われました。

Figure1

図:変異型kras(G12D)遺伝子をGal4-UAS法により後腸特異的に発現させ作製したゼブラフィッシュ後腸腫瘍モデル。
A, B(蛍光画像):コントロール。点線は正常な後腸。C, D(蛍光画像): 後腸腫瘍モデル。点線は異常な後腸。矢印は、EGFPの発現を示す。


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