ヒト内在性レトロウイルス由来転写調節エレメントの網羅的同定

人類遺伝研究部門・井ノ上研究室

Systematic Identification and Characterization of Regulatory Elements Derived from Human Endogenous Retroviruses.

Jumpei Ito, Ryota Sugimoto, Hirofumi Nakaoka, Shiro Yamada, Tetsuaki Kimura, Takahide Hayano, and Ituro Inoue.

PLoS Genetics. Jul 12;13(7):e1006883. 2017. DOI:10.1371/journal.pgen.1006883

トランスポゾンの一種であるヒト内在性レトロウイルス(HERV)は、自身の配列中に転写調節エレメントを有しており、挿入部位近傍の遺伝子発現に様々な影響を与える。本研究では公的データベースに蓄積したChIP-Seqデータを再解析することで、HERV由来転写調節エレメント(HERV-RE)を網羅的に同定した。合計794,972箇所のHERV-REが同定された。クラスター解析により、HERVが転写因子の結合パターンによりいくつかのグループに分類されることが明らかとなった。すなわち、多能性幹細胞系(POU5F1, SOX2, NANOG)、内胚葉系(FOXA1/2, FATA4/6, SOX17)、造血幹細胞系(GATA1/2, SPI1, TAL1)の転写因子、およびCTCFが結合するHERVグループが同定された。HERV-REは先天性免疫システムに関わる遺伝子周囲に有意に多く存在しており、これら遺伝子の調節に関わっていることが示唆された。また我々は、同定されたHERV-REを搭載したデータベースdbHERV-REs (http://herv-tfbs.com/)をWEB上に公開した。本研究は遺伝子転写調節におけるHERV-REの役割を解明するための基盤を提供するものである。

Figure1

dbHERV-REs (http://herv-tfbs.com/)。各種パラメータおよび転写因子の種類等を選択し(A)、HERVの種類を選択すると(B)、HERVの基礎情報(系統学的分類、コピー数、挿入年代)(C)、およびHERV-REのHERV配列上およびヒトゲノム上における位置情報を表示する(D)。


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