DNAは、生きた細胞の中で不規則な塊を作っていた!-遺伝子情報や細胞関連疾患の理解につながる成果-

Press Release

Dynamic organization of chromatin domains revealed by super-resolution live-cell imaging

Tadasu Nozaki, Ryosuke Imai, Mai Tanbo, Ryosuke Nagashima, Sachiko Tamura, Tomomi Tani, Yasumasa Joti, Masaru Tomita, Kayo Hibino, Masato T. Kanemaki, Kerstin S. Wendt, Yasushi Okada, Takeharu Nagai, and Kazuhiro Maeshima

Molecular Cell Published: July 13, 2017 DOI:10.1016/j.molcel.2017.06.018

プレスリリース資料

DNAは規則正しくらせん状に折り畳まれて細胞の核の中に収められていると、長い間考えられてきました。ところが近年、この規則正しい構造は存在せず、不規則に核のなかに収納されていることがわかってきました。しかしながら、実際の収納の様子を「生きた細胞」で捉えた決定的な証拠はありませんでした。

このたび情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所・野崎慎研究員・前島一博教授らと大阪大学・永井健治教授、理化学研究所・岡田康志チームリーダーの共同グループは、光学顕微鏡の分解能を超える超解像蛍光顕微鏡を構築することで、生きた細胞内におけるDNAの収納の様子を観察することに世界で初めて成功しました。その結果、DNAは不規則に折りたたまれ、「クロマチンドメイン」とよばれる小さな塊を形作っていることがわかりました(図1)。このクロマチンドメインは細胞増殖、細胞分裂を通じて維持されていることから、遺伝情報の検索・読み出し・維持に重要な染色体ブロック(機能単位)として働くことが示唆されます。

本研究の結果によって、遺伝情報がどのように検索され、読み出されるのかについての理解がさらに進むとともに、DNAの折りたたみの変化で起きるさまざまな細胞の異常や関連疾患の理解につながることが期待されます。

本研究成果は、平成29年7月13日12時(米国東部時間)に米国科学雑誌 Molecular Cell に掲載されました。

本研究は、大阪大学産業科学研究所・永井健治教授、理化学研究所生命システム研究センター・岡田康志チームリーダー、米国MBL・谷知己チームリーダー、JASR・城地保昌チームリーダー、国立遺伝学研究所・鐘巻将人教授、オランダエラスムスMC・Kerstin S. Wendtチームリーダー、慶應義塾大学・冨田勝教授、国立遺伝学研究所・野崎慎学振特別研究員、前島一博教授グループとの共同研究としておこなわれました。

本研究は文部科学省科学研究費補助金・新学術領域研究「少数性生物学」(領域代表:大阪大学 永井健治教授)、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業(CREST) 「統合1細胞解析のための革新的技術基盤」(研究総括:東京大学大学院 菅野純夫教授)(研究課題名「超解像3次元ライブイメージングによるゲノムDNAの構造、エピゲノム状態、転写因子動態の経時的計測と操作」(JPMJCR15G2)、研究代表者:岡田 康志)、および科学研究費補助金(16H04746)の支援を受けました。

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図1 DNAの細胞内収納に関するこれまでの定説(中段左)と新しい説(中段右)。

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図2 左は従来の生細胞の顕微鏡像(DNAを染色している)。中央は今回の研究で得られた超解像のクロマチン像。より細部の構造がはっきりと分かり、つぶつぶのクロマチンの塊(クロマチンドメイン)が観察された。(右)ヌクレオソーム(研究の背景参照)が塊を作ってドメインを形成すると考えられる。

 

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