見たらつい食べたくなるのは本能だった~視覚情報を摂食行動に結びつける神経回路の発見~

Press Release

Activation of the hypothalamic feeding centre upon visual prey detection

Akira Muto, Pradeep Lal, Deepak Ailani, Gembu Abe, Mari Itoh, Koichi Kawakami

Nature Communications 8, Article number: 15029 (2017) DOI:10.1038/ncomms15029

プレスリリース資料

情報・システム研究機構国立遺伝学研究所の武藤彩助教、川上浩一教授らの研究チームは、モデル生物のゼブラフィッシュをもちいて、獲物を視覚的に認識したときに摂食行動を引き起こす脳の仕組みについて明らかにしました。

食べものを見ただけで反射的に食べたくなるということは誰しもあることです。すなわち、摂食行動は、個体の栄養状態だけでなく、身近に食料が存在するかどうかによって引き起こされるのですが、その摂食行動が過去の摂食経験から学んだ結果なのか、生まれたときから備わっているものなのかはわかっていませんでした。

本研究では、モデル生物であるゼブラフィッシュの稚魚を用いた実験から、摂食経験が全くない稚魚であっても、餌により視覚が刺激されたときに、脳の「獲物検出器」と呼ぶべき神経細胞集団を介して、視床下部の摂食中枢が活動することを、カルシウムイメージングの手法を用いて示しました。

本研究により、餌を見たときに、その情報を食欲へ変換する神経回路が生まれながらに脳内に存在し、その神経回路の活動によって摂食行動が引き起こされることが明らかになりました。

本研究成果は、平成29年4月20日10時(英国時間)に英国オンライン・ジャーナル Nature Communications に掲載されました。

本研究は科学研究費(課題番号 JP25290009、 JP25650120、JP15H02370、JP16H01651)、および、ナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)、総合研究大学院大学学融合推進センター(CPIS)の支援を受けました。

Figure1

獲物となるゾウリムシを見つけたゼブラフィッシュ稚魚の行動と視床下部下葉の神経活動
カルシウム蛍光指示タンパク質GCaMPを視床下部下葉に発現させた稚魚を用いて、捕獲行動の様子を蛍光カメラで経時的に記録した。ゾウリムシが目の前に来たときに視床下部の神経が興奮し始める様子がわかる。

カルシウムイメージングの詳細はこちらでご覧になれます