ヒト科特有のコード・非コードゲノム配列の誕生と進化

集団遺伝研究部門・斎藤研究室

Emergence and evolution of Hominidae-specific coding and noncoding genomic sequences

Morteza Mahmoudi Saber, Isaac Adeyemi Babarinde, Nilmini Hettiarachchi and Naruya Saitou

Genome Biology and Evolution Volume 8, advance access, 2016 DOI:10.1093/gbe/evw132

ヒト科にはヒトと大型類人猿が含まれる。われわれはこれらの全ゲノム配列を用いて、ヒト科特有の遺伝子および高度に保存された非コード塩基配列 (HCNS)を探索した。遺伝子については、ダウン症重要領域4 (DSCR4) 遺伝子だけが、実験的にタンパク質の存在が確認されているヒト科特有のものだった。DSCR4タンパク質は他のすべてのタンパク質と構造上の相同性がなく、いくつかの段階を経て誕生したと推定された。われわれは1658個のヒト科特有HCNSを発見した。これらのHCNSは純化淘汰を受けており、重要な機能を持っていると考えられる。これらの配列は音の感覚認知や発生過程に関する遺伝子の近傍にあり、またヌクレオソーム存在確率が有意に低い。興味深いことに、ヒト科特有HCNSの祖先配列の多くは、きわめて高い進化速度を有していた。このことは、HCNSの一部の新しい機能がなんらかの正の(ダーウィン流の)自然淘汰によって誕生し、その後純化淘汰によってこれらの機能が保たれるようになったことを示唆している。

Figure1

ヒト科とその外群における系統樹の枝ごとの進化速度。数字は分岐年代(単位:百万年)。ヒト科内では進化速度がゼロ(塩基配列が同一)だが、枝α、β、γの進化速度は5.5, 2.0,1.9である。特にヒト科の共通祖先である枝αは、中立進化速度 (1.0)の5倍以上の高さであり、一部の祖先配列は正の自然淘汰を受けていたように思われる。


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