NIG_MoG (The National Institute of Genetics Mouse Genome database)
URL:http://molossinus.lab.nig.ac.jp/msmdb/
国立遺伝学研究所で構築・公開しているマウスのゲノムデータベースについて、ビデオによるチュートリアルの掲載などの拡充により、実験研究者が使い易くするための改訂を行いましたのでお知らせいたします。
NIG_MoGは、マウスの基準ゲノム配列(C57BL/6J(B6))と、日本産モロシヌス亜種由来系統であるMSM/MsおよびJF1/Ms の全ゲノム情報を比較して検出されるゲノム多型情報を検索するためのナビゲーションシステムです。これらマウス亜種間ゲノム多型は、モロシヌス亜種とドメスティカス亜種の間で見出される形質の多様性の基盤になっています。モロシヌス由来系統と汎用近交系統の交配系によって遺伝解析を行う際には、NIG_MoGを利用することで各種ゲノム多型情報や解析ツールに迅速にアプローチすることができます。また、無尽蔵ともいえる遺伝マーカの作製や、塩基置換により引き起こされるアミノ酸置換、さらには遺伝子発現制御領域の多型情報を利用した機能ゲノム研究を効果的に推進することが可能です。
今回、「マウス実験遺伝学の研究者」が直感的にこのデータベースをご利用頂けるように、詳細な利用方法をビデオ・チュートリアルとしてトップページに掲載しました。このチュートリアルを有効に活用することにより、必要に応じて1塩基から数メガベースにわたるゲノム領域の塩基多型を直感的に観察することができます。また、個々の遺伝子についても、エクソンやアミノ酸配列、およびイントロンについて、B6 、MSMおよびJF1の各系統の比較を行うことができ、任意の塩基配列もデータとして取得可能です。NIG_MoGには、この多型情報に加えて、理研バイオリソースセンターで開発された、MSM系統およびC57BL/6N(B6の亜系統)のBACクローンを検索するシステムが搭載されています。これらの機能以外にも、マウス亜種間ゲノム多型情報を利用した機能ゲノム研究を効果的に行うための情報およびツールが拡充され、MSMおよびJF1を利用した各種の研究に欠かせないゲノム多型情報が一層効果的に閲覧できるようになりました。
このデータベースへは、下記のURLでアクセスできます。 http://molossinus.lab.nig.ac.jp/msmdb/
また、今回のビデオ・チュートリアルを含むNIG_MoGデータベースの拡充については、米国のマウスゲノム解析の専門誌であるMammalian Genomeに紹介論文が掲載されました。
このデータベースの構築と公開は、国立遺伝学研究所の生物遺伝資源事業の一環として推進しています。また、一部は科研費(旧特定領域ゲノム「基盤ゲノム」情報支援班)の支援を受けました。掲載論文は、国立遺伝学研究所の哺乳動物遺伝研究室および系統情報(山崎)研究室、理研バイオリソースセンターの共同研究の成果です。
このデータベースについての質問やリクエストは下記にご連絡ください。
図:NIG_MoGのトップページ