プレスリリース
The histone chaperone CAF-1 prevents homologous recombination-mediated instability of the budding yeast ribosomal DNA during replication-coupled DNA double-strand break repair
Hajime Futami, Tsugumi Yamaji, Yuko Katayama, Nanase Arata, Mio Nagura, Takehiko Kobayashi, and Mariko Sasaki(二見統、山地つぐみ、片山優子、荒田七星、名倉澪、小林武彦、佐々木真理子=責任著者)
Nucleic Acids Research (2025) DOI:10.1093/nar/gkaf1010
がん細胞では、染色体とは別に巨大な環状ecDNA(extrachromosomal DNA)がしばしば見つかり、がんの発症や進行に深く関与することが知られています。しかし、ecDNAがどのように生じるのか、その仕組みは長年分かっていませんでした。
本研究グループは今回、モデル生物の出芽酵母を用いて、DNAの複製後にクロマチンを再構築するCAF-1複合体が失われると、リボソームRNA遺伝子(ribosomal DNA, rDNA)領域から環状rDNAが多数生成されることを確認しました。生成された環状rDNAは、DNAの複製が停止してDNAが切断された際、修復の過程で誤って作られたものと分かりました。CAF-1は複製後のDNAにヌクレオソームを適切な間隔で形成させる役割を持っています。
今回の研究により、CAF-1が失われることで、ゲノムが不安定化することが示され、がん細胞でecDNAが発生するメカニズムの解明に向けた理解が大きく進みました。将来的に診断や新規治療法の開発に結び付くことが期待されます。
