2023/04/19

イネ形態形成の遺伝的基盤と育種利用に関する総説を発表

Genetic basis controlling rice plant architecture and its modification for breeding

Wakana Tanaka, Takaki Yamauchi, *Katsutoshi Tsuda *責任著者

Breeding Science (2023) 73, 3-45 DOI:10.1270/jsbbs.22088

広島大学 田中若奈准教授、名古屋大学 山内卓樹准教授、国立遺伝学研究所 津田勝利助教らはイネの形態形成に関する総説を発表しました。

私たちが食べているお米(イネ:Oryza sativa)は約一万年前に栽培化が始まった祖先野生イネOryza rufipogonに由来します。その過程で人類による選抜を受け、イネの形態は大きく変化してきました。例えば栽培イネは野生イネに比べ、密植できるよう草型が直立し、倒伏を防ぐため茎は短く、穂につく米の数は多くなっています。近年の分子遺伝学によりイネの形態形成機構の理解が進み、重要な発生制御因子の多くが栽培化やその後の育種過程で弱いアリルとして利用されてきたことがわかってきました。本総説では、葉・茎・穂・根など器官ごとに発生学的知見をなるべく網羅し、実際に育種利用されてきた例を幅広くまとめました。イネ形態形成機構の理解の一助となり、今後の品種改良に向けた理論的基盤となることが期待されます。

本研究は、日本学術振興会 (JSPS) 科研費 (22K06267, 22H02308, 22H02319) の支援を受けました。

Figure1
図:イネの体を構成する器官 (A)イネの芽生え (B)茎頂分裂組織と葉原基、(C)葉、(D)茎、(E)穂、(F)根系、(G)根端分裂組織、(H)節内部と冠根分裂組織


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