2021/06/09

動物の発生を司るHoxクラスターは脊椎動物の進化過程で機能が多様化した

Press release

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An atlas of seven zebrafish hox cluster mutants provides insights into sub/neofunctionalization of vertebrate Hox clusters

Kazuya Yamada*, Akiteru Maeno*, Soh Araki, Morimichi Kikuchi, Masato Suzuki, Mizuki Ishizaka, Koumi Satoh, Kagari Akama, Yuki Kawabe, Kenya Suzuki, Daiki Kobayashi, Nanami Hamano, and Akinori Kawamura * these authors contributed equally to this work Development 148, dev198325 (2021) DOI:10.1242/dev.198325

プレスリリース資料

埼玉大学大学院理工学研究科 生体制御学コースの山田一哉 大学院生と川村哲規 准教授を中心とする研究グループは、情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所 前野哲輝 技術専門職員と共同で、動物のボディープランを規定するHox遺伝子クラスターが、マウスとゼブラフィッシュの間で多くの異なった機能をもつことを明らかにしました。Hox遺伝子クラスターは、動物の体づくりの基盤となる役割を担う遺伝子群で、これまで進化的にも機能が高く保存されていると考えられていましたが、本研究結果は、脊椎動物の進化の過程の新しい側面を示すものとなります。この研究成果は、国際科学誌「Development」に6月7日付のオンライン版で掲載されました。

遺伝研の貢献 7つのHoxクラスター欠失変異体のうち、成魚まで生存した5つの変異体について マイクロフォーカスX線CT装置によるCTスキャンをおこない、成魚期の全身骨格や全身臓器の網羅的な観察に貢献しました。本解析は2019年度および2020年度国立遺伝学研究所共同研究(NIG-Joint)としておこなわれたものです。

作製したhoxクラスター欠失変異体は、全ての系統をNational BioResource Projectゼブラフィッシュ)に寄託しています。ゼブラフィッシュの発生などにおけるHox遺伝子群の機能解析として、利用することが可能です。
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図: CRISPR-Cas9によるHoxクラスター全域の欠失 CRISPR-Cas9法を用いて、Hoxクラスターの両端をターゲットとするgRNA(矢じり)を受精卵に導入し、Hoxクラスター全域を欠失させた変異体を作成した。


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