現代ヤポネシア人(日本列島人)の内なる二重構造

Press Release

Genome-wide SNP data of Izumo and Makurazaki populations support inner-dual structure model for origin of Yamato people

Timothy Jinam, Yosuke Kawai, Yoichiro Kamatani, Shunro Sonoda, Kanro Makisumi, Hideya Sameshima, Katsushi Tokunaga, and Naruya Saitou

Journal of Human Genetics 2021 January 25. DOI:10.1038/s10038-020-00898-3

プレスリリース資料

日本列島人(ヤポネシア人)の形成に関する「二重構造」モデルは、在来の採集狩猟民(象徴的に「縄文系」と呼ぶ)と弥生時代以降に日本列島に渡来した稲作農耕民(象徴的に「弥生系」と呼ぶ)が混血したと仮定しています。その結果、縄文系の要素は北方に居住するアイヌ人と南方に居住するオキナワ人の双方で高い一方、中央部に居住するヤマト人は弥生系の要素が高くなっています。このモデルは私たちが以前おこなった遺伝子解析で支持されましたが、その解析で使われたヤマト人は主に東京周辺に居住する人々でした。今回私たちは島根県の出雲出身者45名と鹿児島県の枕崎出身者72名のゲノム規模SNPデータを生成し、それらとバイオバンクジャパンのデータを含む東アジアの他の人類集団のゲノムデータと比較解析しました。主成分分析、系統ネットワークなどのさまざまな統計手法を用いた結果、出雲・枕崎・東北地方の集団は、関東(東京を含む)・東海・近畿と遺伝的にすこし異なっていました。日本列島中央部内に居住するヤマト人内にこのような内部構造が生じたのは、縄文時代以降に東アジア大陸部から複数回の渡来があったことを示唆します。これは、「二重構造」モデルをすこし変更した「うちなる二重構造」モデルを支持しています。

本研究は、集団遺伝研究室のTimothy Jinam助教と斎藤成也教授、国立国際医療研究センターの河合洋介副プロジェクト長と徳永勝士プロジェクト長、東京大学大学院新領域創成科学研究科の鎌谷洋一郎教授、鹿児島県枕崎市医師会の園田俊郎博士、牧角寛郎博士、鮫島秀弥博士らによって実施されました。また、出雲地方出身者のDNA収集には、東京いずもふるさと会の岡垣克則会長、荒神谷博物館の藤岡大拙館長にお世話になりました。現代人の進化に関する総合研究大学院大学の共同研究経費、文部科学省の新学術領域研究「ヤポネシアゲノム」(18H05505)、大学共同利用機関4機関連携の文理融合研究、およびジェネシスヘルスケア社との共同研究の支援を受けました。

Figure1

図: ヤポネシアの9集団といくつかの大陸集団の遺伝的関係
(A) 主成分分析の結果。出雲 (6)と枕崎 (8)のDNAデータは今回あらたに決定し、他の7集団のデータはバイオバンクジャパンから提供を受けました。大陸の5集団は右下に位置しています。九州 (7)は 沖縄 (9)と近いクラスターAとヤマト人(他の7集団)と近いクラスターBに分かれました。 (B) Neighbor-Net法を用いた系統ネットワーク。沖縄と九州-Aが左に、韓国人と北京の漢族 (CHB)が右に位置しています。枕崎集団は左側のクラスターにもっとも近く、次に出雲集団が近くなっています。逆に近畿集団は右側の大陸クラスターにもっとも近く位置します。


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