カブトムシの角の形を決めるメカニズムを明らかに
〜「折り畳み方」を決める仕組み〜

Press Release

Genetical control of 2D pattern and depth of the primordial furrow that prefigures 3D shape of the rhinoceros beetle horn.

H Adachi, K Matsuda, T Niimi, S Kondo, H Gotoh

Scientific Reports 10, 18687 (2020) DOI:10.1038/s41598-020-75709-y

プレスリリース資料

カブトムシの角は蛹への脱皮の時に「突然」現れます。これは脱皮に先立って、幼虫の頭の殻の内側で角を「折り畳んだ状態」で作り、脱皮時にエアバックのように角を展開することで可能になっています。この角のもとになる「原基」の折り畳みが、角の最終形態を決めますが、どのようなメカニズムが折り畳みパターンを決めているのかはわかっていませんでした。

情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所の後藤寛貴博士研究員、大阪大学の近藤滋教授、基礎生物学研究所の新美輝幸教授らの研究グループは、カブトムシの角の形成に関わることが知られる様々な遺伝子の機能を失わせたときに、どのように原基の折り畳みパターンが変わるかを調べました。その結果、折り畳み皺(しわ)の「深さ」のみが変わるケースと、皺の「方向(パターン)」のみが変わるケースがあることが分かりました。これにより、皺の「深さ」と「方向」は異なる独立したメカニズムで決まっていることが示されたのです。

角の原基の折り畳み皺の「深さ」と「方向」のどちらが変わっても、角の最終的な形態は変化しました。昆虫の角形成メカニズムはこれまでも研究されてきましたが、今回、「折り畳み皺」に着目したことで複数の異なる分子メカニズムが独立に角形成や角の形の決定に関わっていることがわかりました。

世界のカブトムシの仲間には角を持つ種類が多く、その角の形や大きさは様々です。これらカブトムシのそれぞれの角の形はいずれも原基の折り畳み皺によって決まっていることが予想されます。今後は、種間で角の形状が異なる要因が皺の「深さ」なのか「方向」なのか、あるいは両方なのかを調べることで、多様な角の形態を作り出すメカニズムが明らかになると期待されます。

本研究は、科研費 新学術領域「3Dロジック」の支援を受けて行われました。

本研究成果は、英国科学雑誌「Scientific Reports」に2020年10月29日午後7時(日本時間)に掲載されました。

Figure1

図: カブトムシの角は、脱皮に先立って「折りたたまれた状態で」作られる。どのような「折り畳み皺」を作るかで最終的な角の形が決まる。本研究では、原基表面の皺に着目し、その深さとパターンは異なる分子メカニズムで制御されていることを明らかにした。

  • 後藤寛貴博士研究員のインタビュー記事はこちら

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