MCM8–9経路の相同組換えを制御する新規因子HROB

Control of homologous recombination by the HROB–MCM8–MCM9 pathway

Nicole Hustedt, Yuichiro Saito, Michal Zimmermann, Alejandro Álvarez-Quilón, Dheva Setiaputra, Salomé Adam, Andrea McEwan, Jing Yi Yuan, Michele Olivieri, Yichao Zhao, Masato T. Kanemaki, Andrea Jurisicova, and Daniel Durocher

Genes & Development online advanced publication DOI:10.1101/gad.329508.119

人を含む多くの生物は、両親からそれぞれ1つずつ受け継ぐことで、合計2コピーのゲノムを遺伝情報として持っています。相同組換えはこの2コピーのうち、一方を鋳型として、もう一方を上書きする反応です。相同組換えは配偶子(精子と卵子)形成時の減数分裂に関与するだけでなく、DNA複製中のDNAや放射線で損傷したDNAを修復することに寄与しており、これにより細胞死や発癌などが抑制されます。

相同組換えは主に二つのステップで構成されます。つまり、(1)長いゲノムの中から目的の情報がある部位を探索し、(2)その領域の情報をコピーすることで元の情報を鋳型の情報に上書きします。多くの研究から、情報を探索する反応については詳細がわかってきていますが、コピーする反応の詳細はよくわかっていませんでした。これまでに我々はこのコピー反応に重要な機能を持つMCM8-9の機能を解析してきましたが、今回カナダトロント大学のDaniel Durocher教授ら研究グループと共同でMCM8-9をコピーすべき部位に連れてくる新たな因子HROBを発見しました。MCM8-9と同様に、HROBを欠損した細胞はDNA複製時に機能するDNA修復に異常を持ち、HROBノックアウトマウスも不妊になることから、HROBがMCM8–9とともに正常に機能することがゲノム維持と減数分裂に重要であることが明らかとなりました。HROBとMCM8-9が関与する相同組換えメカニズムの理解が進むことで、癌治療や不妊治療などの応用につながる可能性が期待されます。

Figure1

図:相同組換えは(1)目的の情報を探索し、(2)情報をコピーすることで元の情報を鋳型の情報に上書きします。この反応に必須であるMCM8–9を必要な部位に集める新しい因子としてHROBタンパク質を同定しました。


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