遺伝子スイッチの「移設」が手に水かきを作る

Press Release

Enhancer adoption caused by genomic insertion elicits interdigital Shh expression and syndactyly in mouse

Kousuke Mouri, Tomoko Sagai, Akiteru Maeno, Takanori Amano, Atsushi Toyoda, Toshihiko Shiroishi

PNAS Published online before print December 18, 2017 DOI:10.1073/pnas.1713339115

プレスリリース資料

生物の体が作られるときには、どの組織でどの遺伝子の働きがオンになるかが重要です。遺伝子をオンにする「スイッチ」として働くエンハンサーと遺伝子の組み合わせが生物の多様な「かたち」を生み出すと考えられています。

情報・システム研究機構国立遺伝学研究所の毛利亘輔博士研究員、城石俊彦教授、豊田敦特任教授らのグループは、ある遺伝子が使っていたエンハンサーが別遺伝子の近くにコピー&ペーストされること、いわばスイッチが「移設」されることによって形態の変化が生じることを明らかにしました。

本成果では、指の間に皮膜が張って水かき状の構造になる変異マウス、Hammer toe (Hm)において、Sonic hedgehog (Shh) 遺伝子の近くに別染色体からのエンハンサーが挿入されていることを明らかにしました。その結果、様々な組織の形態形成に働くSonic hedgehog (Shh) 遺伝子が、本来オフになっている指間部でオンになって、指間部の皮膚の構造が変化していたのです。つまり、エンハンサーの移設によってHm変異体は水かきを獲得したのです。

本成果が、生物の形態の多様性を作り出す仕組みを理解する大きなヒントになることが期待されます。

本研究は情報・システム研究機構国立遺伝学研究所哺乳動物遺伝研究室の毛利亘輔、嵯峨井知子、前野哲輝、天野孝紀、城石俊彦、それに同研究所比較ゲノム解析研究室の豊田敦らの研究グループによって遂行されました。

本研究の一部は、文部科学省の科学研究費補助金(科研費番号JP15J06985, JP17K15162, JP17K19411)の支援を受けておこなわれました。

本研究成果にはマイクロCTスキャンの技術が貢献しています。

Figure1

図1:(A)Hm変異体では、複数のエンハンサーを含む配列がShh遺伝子の近くに挿入されていた。(B)野生型およびHmの手のマイクロCTスキャン像。Hmでは指間部にShh遺伝子が発現した結果、膜が残り、指が分離しない。

Figure1

図2:この研究は、ゲノムの変化が組織の形態を変化させるまでのプロセスを明らかにした。

※本研究成果にはマイクロCTスキャンの技術が貢献しています

※本成果がPNAS内の記事で紹介されました 


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