タンパク質レベルで発現調節を可能とするデグロン技術

分子細胞工学研究部門・鐘巻研究室

Conditional Degrons for Controlling Protein Expression at the Protein Level

Toyoaki Natsume and Masato T. Kanemaki

Annual Review of Genetics, DOI:https://doi.org/10.1146/annurev-genet-120116-024656

タンパク質の発現を抑制した際に、その表現系を観察することにより、細胞内におけるタンパク質の機能を推察することは、様々な生物種において行われる遺伝学的解析です。この目的のために、siRNAやコンディショナル遺伝子ノックアウトによるタンパク質発現抑制が一般的に行われてきました。これらの方法は直接タンパク質を除去する訳ではないため、除去効果は間接的であり、除去にはタンパク質の半減期に依存した比較的長い時間を要します。そのため、時として除去による二次的影響が表現系として現れてくるといった問題がありました。

近年、タンパク質分解を誘導する「デグロン」配列を狙ったタンパク質に付加することにより、直接的にタンパク質発現を制御する技術が注目を集めています。デグロン技術によるタンパク質除去は直接的かつ迅速で、その効果を素早く観察することが可能です。私たちは、植物ホルモンオーキシンにより制御可能なデグロンを使い、オーキシンデグロン技術を開発しました。その他にも温度、低分子化合物、光、他のタンパク質の発現などにより制御可能なデグロン技術が開発されています。私たちは、これら新たな技術の開発の歴史と特性を総説としてまとめて発表しました。

Figure1

(A) タンパク質発現を制御するための技術。遺伝子レベルからタンパク質レベルまで様々な方法が有る。デグロン技術はタンパク質レベルで機能する。(B)デグロン技術には温度、低分子化合物、光、他のタンパク質発現により制御する方法が考案されている。