2017/08/11

セルロース合成の”足場”増やす遺伝子を発見

Press Release

A novel plasma membrane-anchored protein regulates xylem cell-wall deposition through microtubule-dependent lateral inhibition of Rho GTPase domains

Yuki Sugiyama, Mayumi Wakazaki, Kiminori Toyooka, Hiroo Fukuda, Yoshihisa Oda

Current Biology DOI:10.1016/j.cub.2017.06.059

プレスリリース資料

セルロースは、紙・綿だけでなく近年注目されているセルロースナノファイバーなどの成分にもなる重要な生物資源です。セルロースは植物細胞の「細胞壁」に含まれる主要な物質ですが、その合成を制御する仕組みはよく分かっていません。

情報・システム研究機構国立遺伝学研究所の小田祥久准教授らの研究グループは植物の細胞壁合成を制御する新しい遺伝子IQD13を発見しました。IQD13遺伝子が作り出すタンパク質はセルロース合成の足場となる微小管(1)を安定化させるとともに、細胞壁合成を阻害するタンパク質の分布を制限することで、細胞壁の面積を増やす働きがあることがわかりました(図)。

IQD13遺伝子の働きを人為的に操作することにより、細胞壁の合成を制御して、セルロース生産に利用しやすい植物の作出に繋がることが期待されます。

本研究は、東京大学大学院理学系研究科、理化学研究所 環境資源科学研究センターとの共同研究としておこなわれました。

本研究成果は、平成29年8月10日(米国東部標準時間)に米国科学雑誌Current Biology に掲載されました。

本研究は、文部科学省の科学研究費補助金 (16H01247, 15H01243, 15H05958)、日本学術振興会の科学研究費補助金16H06172, 16H06377)、科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業さきがけ (JPMJPR11B3)、三菱財団の助成を受けました。

Figure1

図 IQD13は、微小管を壊れにくくすると同時に、細胞壁合成を阻害するタンパク質の分布を制限していると考えられる


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