DNAの違いから、芽生え段階でカンキツの様々な果実特性を高精度に予測 -カンキツ品種改良へのゲノミックセレクションの有効性を確認-

Press Release

Potential of genomics-assisted breeding for fruit quality traits

Mai F. Minamikawa, Keisuke Nonaka, Eli Kaminuma, Hiromi Kajiya-Kanegae, Akio Onogi, Shingo Goto, Terutaka Yoshioka, Atsushi Imai, Hiroko Hamada, Takeshi Hayashi, Satomi Matsumoto, Yuichi Katayose, Atsushi Toyoda, Asao Fujiyama, Yasukazu Nakamura, Tokurou Shimizu, Hiroyoshi Iwata

Scientific Reports 7, Article number: 4721 (2017) DOI:10.1038/s41598-017-05100-x

プレスリリース資料(農研機構)

近年、果樹の品種改良では、DNAの違いから特性を予測し個体を選抜する「DNAマーカー選抜」の利用が進んでいます。しかし、DNAマーカー選抜の利用は少数の遺伝子が関わる特性に限られており、果実重など重要な特性の多くを占める、多数の遺伝子が少しずつ関わる特性には利用できませんでした。

農研機構、東京大学および情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所は共同で、大量のDNAマーカー情報から特性を予測する新技術「ゲノミックセレクション」により、芽生え段階で果実重、果実の硬さ、果皮の色、果皮のむきやすさ、果肉の色、じょうのう膜3)のやわらかさといった果実の特性を高い精度で予測することに成功しました。

その結果、ゲノミックセレクションを利用すれば、従来のDNAマーカー選抜法の利用が困難であった、多数の遺伝子が関わる特性についても、芽生え段階で選抜できることが明らかになりました。

ゲノミックセレクションの活用により、消費者などの新たなニーズ(たとえば特徴的な香りを持つカンキツなど)に応える、カンキツの品種改良の加速化・効率化が期待されます。

遺伝研の貢献:
国立遺伝学研究所先端ゲノミクス推進センターならびに比較ゲノム解析研究室は、柑橘全ゲノムシーケンスを実施しました。また、同研究所大量遺伝情報研究室は、シーケンスデータをもとにSNPアレイの設計をおこなうことで本研究に貢献しました。

掲載雑誌:
本研究成果は国際科学雑誌「Scientific Reports」(7月5日付け:日本時間7月5日18時)に掲載されました。

助成金等の情報:
本研究は農林水産省委託プロジェクト「ゲノム情報を活用した農産物の次世代生産基盤技術の開発」プロジェクト「多数の遺伝子が関与する形質を改良する新しい育種技術の開発」(NGB)、情報・システム研究機構 新領域融合プロジェクト「生命システム」サブテーマ1 超大量ゲノム情報、運営費交付金の支援を受けました。

Figure1

従来の育種法とゲノミックセレクションを取り入れた育種法の比較