大量のオイルを生産する‶最強藻類″の秘密を解明-バイオ燃料の実用化に向け有力な手がかり得る-

Press Release

Differently Localized Lysophosphatidic Acid Acyltransferases Crucial for Triacylglycerol Biosynthesis in the Oleaginous Alga Nannochloropsis

Takashi Nobusawa, Koichi Hori, Hiroshi Mori, Ken Kurokawa, Hiroyuki Ohta

The Plant Journal Accepted manuscript online: 20 February 2017 DOI:10.1111/tpj.13512

プレスリリース資料

東京工業大学生命理工学院の信澤岳特任助教、太田啓之教授らと情報・システム研究機構国立遺伝学研究所ゲノム進化研究室の黒川顕教授、森宙史助教らの研究グループは、バイオ燃料生産に最有望とされるオイル生産藻の一種「ナンノクロロプシス」の突出して高いオイル生産能力を可能にしている仕組みを解明した。生物が作り出すオイルは油滴とよばれるオイル蓄積に必要な細胞内構造に蓄積される。今回、ナンノクロロプシスが持つ高いオイル生産能力には、この油滴の表面で直接的にオイル合成を行う仕組みが重要な役割を果たしていることを発見した。しかもこの仕組みは二次共生とよばれる複雑な進化過程において獲得したものであることを突き止めた。

藻類が高いオイル生産能力を発揮するうえで重要な仕組みを解明したことは、藻類改良のポイントを明示する成果といえる。ナンノクロロプシス油滴表面でのオイル合成能をさらに強化・改変させることで、藻類によるバイオ燃料などの有用脂質生産実用化に向けて大きく前進することが期待される。

研究成果は2月20日、英国科学雑誌「プラント ジャーナル(The Plant Journal)」のオンライン版に公開された。

本研究は東工大の太田教授が科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業(CREST) 「藻類・水圏微生物の機能解明と制御によるバイオエネルギー創成のための基盤技術の創出」研究領域(研究総括:松永是(東京農工大学学長))における研究課題「植物栄養細胞をモデルとした藻類脂質生産系の戦略的構築」の一環として、東工大生命理工学院の堀孝一助教と国立遺伝学研究所の黒川顕教授、森宙史助教との共同で行った。

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図1.オイル高生産藻ナンノクロロプシス
(左)ナンノクロロプシスの光学顕微鏡像。光の屈折により、すこし青みがかって見えるのが油滴。緑に見えるのは葉緑体。
(右)油脂を大量に蓄積したナンノクロロプシスの蛍光顕微鏡像。緑は葉緑体、黄色は油滴を示す。(色は疑似色)

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図2.ナンノクロロプシスの油滴表面に局在するオイル合成酵素
(左)GFP(緑色蛍光タンパク質)を融合させたオイル合成酵素
(中央)蛍光染色した油滴
(右)重ね合わせ像
油滴の表面に酵素が局在しているのがわかる。スケールバーは2 µmを示す。

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図3.ナンノクロロプシスの油滴局在シグナルは出芽酵母でも機能する
蛍光タンパク質そのものは油滴に局在しない(上段)。一方、ナンノクロロプシスの油滴局在シグナル配列を蛍光タンパク質に付与すると、油滴表層に局在するようになった(下段)。
(左)YFP(黄色蛍光タンパク質)の蛍光
(中央)明視野像,粒状に見えるものが出芽酵母の油滴
(右)重ね合わせ像
スケールバーは2 µmを示す。


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