本研究所名誉教授である、太田朋子博士が2016年文化勲章を受章されました。 文化勲章受章者は、原則として前年度までの文化功労者の中から選ばれます。 太田博士は2002年に文化功労者として顕彰されました。 文化勲章親授式は11月3日に皇居で行われました。
<功績>
太田博士の主な業績は、集団遺伝学分野で「ほぼ中立説」という理論を確立したことです。1960年代には、より生存に有利なものが生き残るという自然選択(淘汰)説が広く受け入れられていましたが、当時遺伝研集団遺伝部長であった木村資生 遺伝研名誉教授は、生物集団内に広まる突然変異のほとんどは有利でも不利でもないとする「中立説」を提唱しました。太田博士は木村博士の共同研究者として中立説の確立に貢献しました。さらに太田博士は、中立説だけではつじつまの合わない現象を説明するために、生存に少しだけ不利な弱有害変異という考え方を導入した「ほぼ中立説」を確立しました。この理論は、現在の最先端研究にも大きな影響を与えています。
<参考資料>
クラフォード賞受賞の発表ページ(Royal Swedish Academy of Science)