攻撃を挑発する遺伝子座

マウス開発研究室・小出研究室

Mapping of Genetic Factors That Elicit Intermale Aggressive Behavior on Mouse Chromosome 15: Intruder Effects and the Complex Genetic Basis

Aki Takahashi, Hiroki Sugimoto, Shogo Kato, Toshihiko Shiroishi, Tsuyoshi Koide

PLOS ONE. September 21, 2015. DOI:10.1371/journal.pone.0137764

マウス開発研究室ではこれまで、野生由来マウス系統であるMSMのオスが過剰な攻撃性を示すことを明らかとし、その遺伝的基盤の一つとして15番染色体の関与を同定してきました(https://www.nig.ac.jp/nig/ja/2014/06/research-highlights_ja/20140613-2.html)。本研究では、この15番染色体上の攻撃性に関わる遺伝子座の特徴の解析を更に進め、15番染色体は特に相手の攻撃行動を誘発するような効果を持つことが明らかになりました。また、15番染色体の中にも攻撃行動に関わる遺伝子座が複数存在していることも明らかとなりました。

攻撃行動をはじめとした社会行動は、2個体の相互作用によって生まれるもので、相手があって初めて成り立つ行動です。雄マウスはなわばりを守る習性があり、なわばりに侵入してきたオスに対して居住雄が攻撃行動を示します。この攻撃行動に関わる遺伝子というのは、その個体自身の攻撃性を高めるものもあれば、他個体の攻撃行動を誘発するような要因も含まれてきます。私たちは15番染色体のコンソミックマウス系統(ほとんどすべての遺伝子は実験用マウスのC57BL/6J系統と同じなのですが、15番染色体のみMSM系統に由来するものを持っている系統。約してB6-15MSM)がC57BL/6J系統よりも高い縄張り性攻撃行動を示すことを明らかにしました。興味深いことに、B6-15MSM系統は居住者の時よりも、侵入者として用いられたときに、攻撃行動を高くすることが分かりました。つまり、侵入者として攻撃行動を誘発するような因子を持っていることが示唆されました。これが実際にどのような因子なのか(フェロモン、行動、超音波など)については、今回の解析では同定することができず、今後明らかにしていく課題です。

この15番染色体上の攻撃行動に関わる遺伝子座を同定するために、私たちは複数の組み換え系統(コンジェニック系統)を作成して、攻撃行動の解析をしました。統計数理額研究所の加藤助教との共同研究により回帰分析を行った結果、MSMの15番染色体上には攻撃潜時(攻撃行動を始めるまでの時間の長さ)に関わる遺伝子座が4つ存在することが明らかとなりました。そのうちの1つの遺伝子座については、4.1 Mbpの領域にまで狭められ、候補遺伝子は3つまで絞られました。

Figure1


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