減数分裂移行を制御するイネ蛋白質が結合するRNA配列

実験圃場・野々村研究室

Rice MEL2, the RNA recognition motif (RRM) protein, binds in vitro to meiosis-expressed genes containing U-rich RNA consensus sequences in the 3′-UTR

Saori Miyazaki, Yutaka Sato, Tomoya Asano, Yoshiaki Nagamura, Ken-Ichi Nonomura

Plant Molecular Biology, Published online. 30 August, 2015. DOI:10.​1007/​s11103-015-0369-z

被子植物では、特定の季節に受粉・受精を行い、種子生産を完了させる必要があるため、生殖細胞の分化・発生のタイミングは厳密に制御されています。同一の葯内で、複数の花粉母細胞が同調的に減数分裂へと移行し、大量の花粉が同時に生産されるのもその一例です。私たちのグループは2011年に、イネの生殖細胞が減数分裂に移行するタイミング制御に関わるMEL2遺伝子の同定に世界に先駆けて成功しました。しかし、植物の減数分裂への移行タイミングを制御する機構はほとんどが不明のままです。

今回は、MEL2 蛋白質がもつRNA認識モチーフ(RRM)と優先的に結合する特徴的なRNAコンセンサス配列を試験管内で同定しました。同配列をイネゲノム配列と照合したところ、249個のイネ遺伝子が、3′-非翻訳領域(3′-UTR)内にコンセンサス配列と類似の配列を保存していました。また、葯での蓄積量がmel2突然変異体で変動するイネ蛋白質には、減数分裂での機能が示唆されるいくつかの蛋白質が含まれており、それらに対応するmRNA 3′-UTRの中に、MEL2結合コンセンサスと類似の配列を見出しました。これらの結果は、MEL2がmRNAの3′-非翻訳末端に結合し、減数分裂で重要な働きをする蛋白質の翻訳制御を介して減数分裂移行のタイミングを制御している可能性を示唆しています。

本研究は、国立研究開発法人農業生物資源研究所および金沢大学との共同研究の成果です。また、学術振興会 科研費(21678001、24770048、25252004)、二国間交流事業の支援を受けました。

Figure1

MEL2蛋白質はin vitroでウリジン(U)リッチなRNA配列に結合する.
(A) MEL2のRNA認識モチーフ(RRM)がin vitroで結合しやすい10塩基長のRNAコンセンサス配列. 上部の数値は、それぞれのポジションで優先的な塩基(T, A, G, あるいはC)の占めるパーセンテージ.
(B)ゲルシフトアッセイ. MEL2のRRMと、コンセンサス配列を含む一本鎖RNAを混合した時のみ、ラベルしたRNAバンド位置がシフトする(赤矢頭). コンセンサス配列に変異を入れると、シフト効率が激減する(白抜き矢頭).


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