エゾサンショウウオの形態変化に関わる遺伝子群を同定

生態遺伝学研究部門・北野研究室

Transcriptome analysis of predator- and prey-induced phenotypic plasticity in the Hokkaido salamander (Hynobius retardatus).

Matsunami, M., Kitano, J., Kishida, O., Michimae, H., Miura, T., and Nishimura, K. Molecular Ecology 24: 3064–3076 (2015) DOI:10.1111/mec.13228

エゾサンショウウオの幼生は、捕食者であるヤゴが存在すると尾の高さや鰓のサイズが増し、餌であるエゾアカガエルのオタマジャクシが存在すると顎のサイズが大きくなることが知られています。周囲の環境に依存してこのように表現型を可塑的に変化させる現象は表現型可塑性として広く知られているものの、その背景で動く遺伝子の実体について脊椎動物では殆ど明らかになていません。このたび、生態遺伝学研究部門では、北海道大学や北里大学との共同研究によって、この際に発現量の変動を示す遺伝子群を同定しました。

解析の結果、捕食者によって引き起こされる形態変化は、被食者によって引き起こされる形態変化の約5倍の数の遺伝子の発現変化がおこっていること、異なる形態変化間で異なる遺伝子発現の変化が起こるだけではなく、共通の遺伝子発現の変化も生じていることが明らかになりました。したがって、このような形態変化は、独立に進化してきたのではなく、すでに持っている形態変化の分子基盤の一部を流用することで得られたのではないかと考えられました。

本成果は、総研大出身(遺伝研の斎藤研究室にて学位取得)の北海道大学の松波雅俊研究員が、国立遺伝学研究所の共同利用研究や科研費基盤A(西村欣成代表)の支援のもと、北野研究室を複数回訪問し共同研究することで得られた成果です。

Figure1

餌であるエゾアカガエルのオタマジャクシが存在すると顎のサイズが大きくなる(上)。北大の岸田治博士撮影。


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