2014/06/19

神経軸索の正常な伸長と経路選択を助ける膜タンパク質

脳機能研究部門・平田研究室

Transcallosal Projections Require Glycoprotein M6-Dependent Neurite Growth and Guidance.

Sakura Mita, Patricia de Monasterio-Schrader, Ursula Fünfschilling, Takahiko Kawasaki, Hidenobu Mizuno, Takuji Iwasato, Klaus-Armin Nave, Hauke B. Werner, and Tatsumi Hirata. Cerebral Cortex  DOI: 10.1093/cercor/bhu129

4回膜貫通タンパク質M6aは軸索の先端に豊富に分布し、軸索伸長に関わる可能性が、古くから培養実験により示唆されてきました。しかし一見矛盾する報告もあり、実際の生理的機能については不明でした。今回我々は、M6a遺伝子とそのホモログであるM6b遺伝子を同時に破壊する事で、これらのタンパク質が実際に生理的に軸索伸長に働くことを明らかにしました。M6aとM6bを欠損したマウスでは、左右の大脳半球をつなぐ軸索束である脳梁が顕著に細くなり、多くの軸索が脳梁に到達する前に伸長を停止してしまいます。さらに一部の軸索は行き先を誤って、大脳皮質外に伸びていることもわかりました。以上の結果は、M6タンパク質が、生体脳において、正常な軸索伸長と経路選択を保障する重要な役割を担うことを示しています。

形質遺伝研究室が開発したSupernovaシステムを用いた共同研究による成果です。

Figure1

上:M6a/M6b 二重変異マウスの脳(右)では、左右大脳半球をつなぐ脳梁軸索(緑)の本数が著しく減少する(矢印)。下:Supernovaシステムによりトレースした軸索の形態。M6a/M6b 二重変異マウスの脳(右)では、軸索が短いだけでなく、走行方向が乱れ、間違った部位にも投射する(矢印)。


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