2013/07/31

トランスポゾンのコードする抗サイレンシング因子を発現させるとトランスポゾンが動いた

育種遺伝研究部門・角谷研究室

Mobilization of a plant transposon by expression of the transposon-encoded anti-silencing factor
Yu Fu, Akira Kawabe, Mathilde Etcheverry, Tasuku Ito, Atsushi Toyoda, Asao Fujiyama, Vincent Colot, Yoshiaki Tarutani, Tetsuji Kakutani
EMBO Journal, advance online publication 30 July 2013; doi:10.1038/emboj.2013.169

ゲノム中を動く配列であるトランスポゾン(TE)はゲノムの進化に大きな影響を与えるが、潜在的に有害であり、そのほとんどはDNAメチル化などのエピジェネティックな機構で抑制されている。
今回、宿主のエピジェネティックな抑制機構に対抗する活性を持つTEについて報告する。シロイヌナズナで飛雲(Hi )と呼ぶTEは可動性であるが末端の逆位反復配列が壊れている。
Hi は正常個体では抑制されているがDNAメチル化がなくなるとゲノム中を動く。
Hi 配列をゲノム中に導入すると、もともとあったHi コピーが動く。また、導入配列はもとの配列の転写活性化と脱メチル化を引き起こす。
さらに、このような活性化は転移を触媒する酵素でなく別のタンパク質に仲介されている。
この抗サイレンシング因子と構造の似たタンパク質は、末端逆位配列の壊れた一群のTEに広く分布しており、これらのTEの自然集団中での増殖に貢献しているかもしれない。

(A) トランスポゾンHiunHi , 飛雲)の構造。このトランスポゾンは転移酵素と抗サイレンシング因子をコードする。抗サイレンシング因子は脱メチル化と転写活性化を引き起こす。
(B) 非形転換体(青)とHi を発現する形質転換体(赤)での内在Hi 配列のDNAメチル化。Hi 配列の導入で内在コピーのDNAメチル化が低下する。


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