2013/07/23

シーラカンス5頭の全ゲノム配列の解読に成功

Press Release

Coelacanth genomes reveal signatures for evolutionary transition from water to land.
Nikaido et al.
Genome Research 22 July 2013 in press

プレスリリース資料

生きた化石と呼ばれている希少種シーラカンスの全ゲノム配列(約27億塩基対)の決定に、東京工業大学、国立遺伝学研究所、東京大学などの研究チームが成功しました。

今回、研究チームは、タンザニア産3頭、コモロ産とインドネシア産のそれぞれ1 頭のシーラカンス(現存する全2種を網羅)について全ゲノム配列を決定し、大規模な比較ゲノム解析を実施しました。
特に、四肢形成や嗅覚に関連する遺伝子について詳しく調べたところ、シーラカンスは水中で生息する魚類であるにも関わらず、そのゲノム中には陸生の四足動物(カエルや哺乳類など)に特徴的な遺伝子がすでに数多く存在していることが明らかになりました。
これは、かつて水中に生息していた四足動物の祖先となる魚類が徐々に陸上化を遂げていくにあたり、ゲノムレベルではどのような変化が起きていたのかを知るための重要なてがかりを与えるものと考えられます。
また、シーラカンスの遺伝的多様性が極めて低いことも明らかとなり、この希少種の絶滅回避に向けた本格的な保全活動が急務であることが示されました。

今回のゲノム解読に用いた個体と同腹のシーラカンス稚魚
(国際科学振興財団主席研究員 岡田典弘(東工大名誉教授)提供)


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