イネの花粉形成遺伝子を同定

実験圃場・野々村研究室

COLLAPSED ABNORMAL POLLEN1 gene encoding the arabinokinase-like protein is involved in pollen development in rice
Kenji Ueda, Fumiaki Yoshimura, Akio Miyao, Hirohiko Hirochika, Ken-Ichi Nonomura, and Hiroetsu Wabiko
Plant Physiology, 2013 Jun;162(2):858-871. DOI: 10.1104/pp.113.216523

栽培イネのゲノムに含まれる約3万2千個の遺伝子のうち、2万以上の遺伝子が花粉を含む葯で発現するといわれています。しかし、花粉形成過程における機能が解明された遺伝子は限られています。今回の研究では、花粉形成過程で特異的な働きをするイネ遺伝子の同定に成功し、COLLAPSED ABNORMAL POLLEN1 (CAP1 )遺伝子と命名しました。

被子植物の花粉は、栄養細胞のなかに2つの精細胞がとりこまれた、3細胞からなる特殊な構造をしています。CAP1 遺伝子は、精細胞が分裂する前の二細胞花粉期の葯で最も強く発現していました(図1)。遺伝子機能が欠損した花粉は、ほとんどの細胞成分が失われて花粉外壁(エキシン)だけの構造になり(図2)、花粉管伸長能が失われます。花粉形成以外のイネの成長には全く影響しないことから、CAP1 の花粉特異的な機能が明らかとなりました。

イネCAP1タンパク質は、植物のL-アラビノキナーゼとよく似ており、細胞壁代謝の過程で生じるL-アラビノースを再利用のためリン酸化している可能性が示唆されました。イネcap1変異体では、アラビノースが再利用されずに花粉内に異常に蓄積する、あるいは花粉の細胞壁代謝が阻害されて崩壊すると予想されます。遺伝子発現パターンがシロイヌナズナのアラビノキナーゼ様遺伝子の1つと酷似することから、CAP1 機能が被子植物で広く保存されており、花粉形成過程において非常に重要な役割を果たすことが示唆されました。

本研究は、秋田県立大学および農業生物資源研究所との共同研究であり、遺伝研共同研究経費(共同研究A、B)の助成を受けて実施されました。

秋田県立大学における紹介記事

Figure1


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