神経軸索投射が、感覚器官の細胞増殖に必要

初期発生研究部門・川上研究室

Innervation is required for sense organ development in the lateral line system of adult zebrafish
Hironori Wada, Christine Dambly-Chaudiere, Koichi Kawakami, and Alain Ghysen
PNAS, 2013 Apr 2;110(14):5659-5664. DOI: 10.1073/pnas.1214004110

感覚器官には必ず感覚神経軸索が分布し、外界からの情報を脳に伝えています。感覚器官からはさまざまな因子が分泌され、神経軸索を増殖・誘引することが知られていますが、神経軸索の働きについてはよくわかっていません。我々は、ゼブラフィッシュの側線器官(感丘)の細胞増殖が、神経軸索によって制御されることを示しました。

ゼブラフィッシュの側線器官(感丘)では、出芽によって新たな器官を形成し、クラスターを形成します。出芽して増殖する感丘において「Wntシグナル」が細胞増殖を制御しています。Wntシグナル活性が高い増殖細胞は、分岐した神経軸索が隣接して存在します(図A,矢頭)。感覚神経細胞をレーザー照射装置により除去すると、感丘は出芽するにもかかわらず、細胞増殖が起きないことを示しました(図B)。さらに、神経軸索が、Wnt活性を亢進することを示しました。つまり、神経軸索はWntシグナルを亢進することによって、感丘の細胞増殖を制御していることが分かりました。神経軸索と感覚器官には密接な相互作用があることを示しています。

本研究は、モンペリエ大学、アラン・ギーセン博士との共同研究であり、科学技術振興機構さきがけの助成のもと行われました。

Figure1

(A) ゼブラフィッシュ側線器官において、出芽する増殖細胞はWntシグナル活性が高い(緑)。また、増殖細胞は、神経軸索(矢頭)によって投射を受ける。
(B, C)神経軸索を除去すると、側線器官は出芽するにもかかわらず、細胞増殖が起きなくなる。


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