2013/03/21

インターシップ(NIGINTERN)留学生が日本の淡水イトヨの起源を確認

生態遺伝学研究室・北野研究室

Are Japanese freshwater populations of threespine stickleback derived from the Pacific Ocean lineage?
Cassidy, L. M., Ravinet, M., Mori, S., and Kitano, J.
Evolutionary Ecology Research, 15: 295-311 (2013).

昨年度のNIGINTERN制度にて、国立遺伝学研究所の北野研究室において数ヶ月間滞在して研究を行いました Lara M. Cassidyさんの研究成果が、米科学誌Evolutionary Ecology Researchに出版されました。

トゲウオ科魚類のイトヨは、淡水侵出によって適応放散し多様性を獲得したことが知られています。昔のアロザイムを用いた系統研究などによって、日本の淡水イトヨは、日本海ではなく、太平洋のイトヨが淡水域に侵出したことで進化したと考えられていました。今回は、マイクロサテライトという、さらに感度の良い手法を用いてその成果を確認したものであり、米科学誌Evolutionary Ecology Research に出版されました。今後の生態遺伝学研究室では「なぜ日本海イトヨは淡水に侵出できなかったのか」という問いに遺伝的手法で迫ることを目指しており、その基盤情報となる貴重な成果です。

Cassidyさんは、NIGINTERN制度を利用して数ヶ月間遺伝研に滞在してこの実験を行い、アイルランドに帰国後も、我々とメール会議を通してデータの共同解析や論文の共同執筆を行い、このたび、その成果が米科学誌に出版されました。

本成果は岐阜経済大学との共同研究であり、環境省、文部科学省、科学技術振興機構、国立遺伝学研究所共同利用の助成のもとで行われました。

Figure1

日本産イトヨのマイクロサテライト系統図
淡水集団(緑)は全て太平洋系統(赤)由来で、日本海由来(青)の淡水集団は見つかっていない。


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