2024/07/08

魚に首の骨(頸椎)はあるのか?
―脊椎動物の共有形質 「背骨」の進化を探る―

プレスリリース

技術課 / フェノタイプ研究推進センター / 細胞建築研究室

The Hox code responsible for the patterning of the anterior vertebrae in zebrafish

Akiteru Maeno, Rina Koita, Hidemichi Nakazawa, Renka Fujii, Kazuya Yamada, Sae Oikawa, Taisei Tani, Mizuki Ishizaka, Koumi Satoh, Atsuki Ishizu, Takumi Sugawara, Urara Adachi, Morimichi Kikuchi, Norimasa Iwanami, Masaru Matsuda, and Akinori Kawamura

Development 2024 Jun 28 DOI:10.1242/dev.202854

プレスリリース資料

脊椎動物のからだに共通してみられる背骨は、椎骨が連なった繰り返し構造をしています。ヒトの各椎骨は前方から、首の骨である「頸椎」、肋骨と接続する「胸椎」、そして「腰椎」、「仙椎」、「尾椎」と分かれています。魚にも肋骨があり、魚も「胸椎」をもっていることがわかります。では、魚に首の骨、「頸椎」はあるのでしょうか。この問いは、脊椎動物の「背骨の進化」を紐解くうえで非常に重要です。

埼玉大学大学院・理工学研究科 生体制御学プログラム 川村哲規 准教授と国立遺伝学研究所 前野哲輝 技術専門職員は、宇都宮大学・バイオサイエンス教育研究センター 松田 勝 教授、岩波礼将 特任准教授らと共同で、椎骨の個性をもたらすHox(ホックス)遺伝子を壊したゼブラフィッシュやメダカを多種類作製し、どの位置の椎骨に異常が生じ、椎骨の個性を決めているかを調べました。その結果、魚の2番目の椎骨は「胸椎」と考えられ、魚の最前部の椎骨のみが「頸椎」と類似した性質をもつ可能性を示しました。本成果は、発生生物学の専門誌 『Development』に6月28日付でオンラインにて掲載されました。

本研究は、科学研究費補助金の基盤研究(C) 18K06177, 23K05790、国立遺伝学研究所公募型共同研究NIG-JOINT38A2019, 7A2020, 66A2021, 18A2022, 31A2023、成茂動物科学振興基金(2021年)によって行われました。

  • マイクロCTが本研究の基盤の一つになっています。フェノタイプ研究推進センターでは研究者コミュニティ向けに、本技術を用いた撮影支援を受益者負担の受託型事業として提供しています。

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