焼酎黒麹の白色化によって起こる遺伝子変異

Press Release

Analysis of genomic characteristics and their influence on metabolism in Aspergillus luchuensis albino mutants using genome sequencing

N. Yamamoto, N. Watarai, H. Koyano, K. Sawada, A. Toyoda, K. Kurokawa, T. Yamada

Fungal Genetics and Biology 155, 103601 (2021) DOI:10.1016/j.fgb.2021.103601

プレスリリース資料

東京工業大学 生命理工学院 生命理工学系の山田拓司准教授らは、株式会社ぐるなびとの共同研究において、焼酎麹として用いられている黒麹と、黒麹が突然変異で白色化した白麹のゲノム解析を行い、白麹の遺伝的特徴を明らかにしました。

従来の白麹研究では、研究用の白麹IFO4308株に遺伝子の欠損などが見つかっていますが、そうした特徴が白麹株一般に当てはまるかどうかは不明でした。本研究では、種麹屋の協力のもと、白麹IFO4308株と、複数の実用焼酎用白麹のゲノム比較を行ったところ、両方の白麹に共通する遺伝子変異が複数特定されました。一方、黒麹とIFO4308株との比較では違いがありませんでしたが、種麹屋が保有する白麹には共通した変異が起きている遺伝子が多数見つかりました。別々に継代されてきた種麹屋の白麹に同じ変異が見られたことは、白色化が起きると、特定の遺伝子に変異が入りやすくなるためだと考えられます。そうした変異がある遺伝子群には、糖新生(用語2)の重要な酵素であるイソクエン酸リアーゼ(用語3)に関連する遺伝子が含まれており、種麹屋が保有する白麹株は、酢酸を炭素源として用いて生育することができなくなっていました。

イソクエン酸リアーゼを含めた特定の遺伝子に変異が入りやすい理由は不明でしたが、従来用いられてきた白麹株以外に研究対象を広げたことで、これまで明らかになっていなかった焼酎白麹の特性を示すことができました。

この研究成果は7月2日、米国の科学誌「Fungal Genetics and Biology」にオンライン掲載されました。

Figure1

図: 遺伝子の変異数。実用白麹株で共通する変異が多数見つかった。


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