生態系における脂肪酸の役割を総説

The evolutionary ecology of fatty-acid variation: implications for consumer adaptation and diversification.

Twining, C., Bernhardt, J., Derry, A., Cameron, H., Ishikawa, A., Kabeya, N., Kainz, M., Kitano, J., Kowarik, C., Ladd, S. N., Leal, M., Scharnweber, K., Shipley, J., and Matthews, B.

Ecology Letters 2021 June 10 DOI:10.1111/ele.13771

脂肪酸は生物にとって必要な因子ですが、陸域、海水域、淡水域などの異なる生態系には異なる組成の脂肪酸が分布しています。生態遺伝学研究室では、祖先型の海産魚が淡水魚に進化するためには、淡水生態系に少ないドコサヘキサエン酸(DHA)を合成する酵素のコピー数を増やすことが重要であることを発見し2019年に報告しています(Ishikawa et al. 2019 Science)(Research Highlights記事はこちら)。我々の本研究成果を受けて、海外の生態学者より、生態系間の脂肪酸分布の違い、及び、それが動物の進化に与える効果についてのワークショップ企画の誘いがあり、生態遺伝学研究室の北野潤教授と石川麻乃元助教(現・東京大学大学院新領域)が参加して、7カ国からの国際色豊かな研究者たちとワークショップにて議論を重ね総説を共同執筆しました。

陸域、海水域、淡水域の間では、DHAなどの脂肪酸組成が異なっていることをメタ解析した後、動物の諸機能における脂肪酸の役割を概説し、最後にそれがどのように動物の進化に影響を与えるのかについて考察しました。北野と石川は、動物の進化に関する部分を執筆しました。本総説は、生態学分野で評価の高い国際誌のエコロジーレターズに掲載されました。生態学と脂肪酸研究の更なる融合につながることが期待されます。


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