植物のユニークな細胞分裂の仕組みを解明 ~農作物増産に期待~

Press Release

A novel katanin-tethering machinery accelerates cytokinesis

Takema Sasaki, Motosuke Tsutsumi, Kohei Otomo, Takashi Murata, Noriyoshi Yagi, Masayoshi Nakamura, Tomomi Nemoto, Mitsuyasu Hasebe, Yoshihisa Oda

Current Biology 29, 1-11 DOI:10.1016/j.cub.2019.09.049

プレスリリース資料

細胞分裂はあらゆる生物の成長の根幹となる生命現象です。植物の細胞分裂は根や茎の先端で繰り返され、植物の成長は細胞分裂の効率に大きく依存します。植物細胞は細胞板で細胞質を仕切ることにより分裂します。この仕組みは細胞がくびれることにより分裂する動物細胞と異なっています。植物細胞が細胞板を形成して細胞分裂をする仕組みには未解明の部分が数多く残されています。

情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所の小田祥久教授らの研究グループは、植物細胞が細胞板を効率よく作り出す仕組みを世界で初めて明らかにしました。本研究グループは、細胞板を作り出す装置に含まれるタンパク質「CORD4」を見出し、CORD4が細胞板の成分を運ぶレールである微小管(1)を効率よく配置することにより、細胞板をより短時間で作り出していることを突き止めました。

本研究により、植物のユニークな細胞分裂の仕組みの一端が明らかになりました。この成果は植物の細胞分裂の仕組みとその仕組みの進化の過程の解明に繋がる貴重な手がかりです。この仕組みを利用することで、農作物の生育を早める新しい技術に繋がる可能性も期待されます。

本研究は、北海道大学電子科学研究所ニコンイメージングセンター、自然科学研究機構基礎生物学研究所、名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所(WPI-ITbM)との共同研究として行われました。

また、本研究は、文部科学省の科学研究費補助金(JP19H05372, JP19H05677, JP19H05670)、日本学術振興会の科学研究費補助金(JP18H02469, JP18K14737, JP18KK0195, JP15H05953, JP16H06280, JP16H06378)、物質・デバイス領域共同研究拠点:人・環境と物質をつなぐイノベーション創出ダイナミック・アライアンスにおける共同研究「COREラボ」(20186001,20166001)、国立遺伝学研究所 NIG-JOINT(89A2019)、ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムの助成を受けました。なお、所属は論文受理時のものです。

本研究成果は、米国科学雑誌「Current Biology」に2019年11月14日午前11時(米国東部時間)に掲載されました。

Figure1

図: 植物細胞の分裂の様子
A, 植物細胞は細胞板により細胞質を仕切ることで分裂する。
B, 細胞板はフラグモプラスト(2)と呼ばれる装置により作られる。フラグモプラストでは短い微小管が細胞壁の成分を含む小胞を輸送する足場としてはたらいている。CORD4は、フラグモプラストの微小管を細胞板に垂直に並べる。輸送された小胞が細胞板と融合することにより細胞板が拡大していく。


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