遺伝子から続々解明される縄文人の起源~高精度縄文人ゲノム~

Press Release

Late Jomon male and female genome sequences from the Funadomari site in Hokkaido, Japan

著者:神澤 秀明(国立科学博物館),Timothy A. Jinam(国立遺伝学研究所),河合洋介(東京大学),佐藤丈寛(金沢大学),細道一善(金沢大学),田嶋敦(金沢大学),安達登(山梨大学),松村博文(札幌医科大学),Kirill Kryukov(東海大学),斎藤成也(国立遺伝学研究所),篠田謙一(国立科学博物館)

雑誌:Anthropological Science

国立科学博物館によるプレスリリース

縄文人は、日本列島で16,000年前から3,000年前まで続いた縄文時代の狩猟採集民であり、縄文人の遺伝子はわたしたち日本人に引き継がれています。縄文人は東南アジアあるいは北東アジア起源と考えられてきました。しかしながら、縄文人の起源と成立の詳細については、今日まで明らかにされていませんでした。

国立科学博物館、情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所、東京大学、金沢大学、山梨大学、札幌医科大学、東海大学の7研究機関からなる共同研究グループは、北海道礼文島の船泊遺跡から出土した約3,800年前の縄文人の全ゲノムを高精度で解読することで、縄文人の起源と成立の詳細を明らかにすることに挑みました。

本研究グループは、北海道礼文島の船泊遺跡から出土した縄文人のうち、最も保存状態がいいことがわかった男女2人の大臼歯からDNAを抽出し、全ゲノム分析を行いました。その分析の結果、全ゲノム配列を高精度で決定することに成功したのです。決定した高精度ゲノム配列を詳細に調べることで、HLAタイプ、疾患関連遺伝子の変異など、複数の形質を明らかにしました。これらの古代ゲノム情報から縄文人は狩猟、漁撈が生業活動の中心であったこと、小さな集団で生活していたことがわかりました。また、縄文人は、アメリカ先住民を含む東ユーラシア集団の中で最も古い時代に分岐したことがわかりました。その一方で、縄文人はウルチ、韓国人、台湾先住民、オーストロネシア系フィリピン人と遺伝的に近かったのです(図)。このことは東ユーラシアの地域集団の形成プロセスを知る重要な手掛かりになります。

今後、本研究で明らかになった高精度の縄文人ゲノムは、古代日本人DNA研究の基本となる参照配列になることに加えて、縄文人と弥生人の混血によって形成されたと考えられる現代日本人の成り立ちの詳細を理解するうえで重要な情報を提供することが期待されます。

本成果は日本人類学雑誌英文誌「Anthropological Science」に2019年5月下旬に掲載されます。

Figure1

図:船泊縄文人と世界中の現代・古人との遺伝的親和性。縄文人と東アジア沿岸部周辺現代人の間に遺伝的親和性があることを示しています。


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