藻類の酸性環境への適応戦略 -強酸性環境に生息する藻類のゲノム情報を解読-

Press Release

Acidophilic green algal genome provides insights into adaptation to an acidic environment

Shunsuke Hirooka, Yuu Hirose, Yu Kanesaki, Sumio Higuchi, Takayuki Fujiwara, Ryo Onuma, Atsuko Era, Ryudo Ohbayashi, Akihiro Uzuka, Hisayoshi Nozaki, Hirofumi Yoshikawa, Shin-ya Miyagishima

PNAS September 11, 2017 DOI:10.1073/pnas.1707072114

プレスリリース資料

藻類は世界中の様々な環境に生息しています。多くの生物は生きることが難しいpH 2という胃酸並の酸性環境に生息する藻類も多く存在します。過酷な酸性環境にこれらの藻類はどのようにして適応したのでしょうか?

情報・システム機構国立遺伝学研究所の廣岡俊亮研究員、宮城島進也教授らと豊橋技術科学大学・広瀬侑助教、東京農業大学・兼崎友研究員、吉川博文教授、野尻湖水草復元研究会・樋口澄男氏、東京大学・野崎久義准教授らの共同グループは好酸性緑藻Chlamydomonas eustigmaのゲノムを解読し、好酸性緑藻のゲノムの特徴を見出すことにより、世界で初めて藻類の酸性環境への適応機構を明らかにしました。

本成果により、藻類の適応進化の理解が進むとともに、多くの生物の増殖を抑制する酸性環境で生育できる有用藻類の創出が期待されます。これによって、藻類の野外大量培養で問題となる他生物混入の解決が期待されます。

本研究成果は、米国科学誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」のオンライン速報版(Early Edition)に2017年9月第3週に掲載されます。

本研究は、科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業(CREST)「藻類・水圏微生物の機能解明と制御によるバイオエネルギー創成のための基盤技術の創出」(研究総括:早稲田大学・松永是教授)における研究課題「高バイオマス生産に向けた高温・酸性耐性藻類の創出」(研究代表者:宮城島進也)、文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業(S1311017)、および文部科学省の科学研究費補助金(25251039)の支援を受けておこなわれました。

Figure1

好酸性緑藻であるC. eustigmaは近縁の好中性緑藻Chlamydomonas reinhardtiiよりも酸性の環境で生育できる。画像中のスケールバーは10μm。


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