家畜動物はなぜ人になつくのか~人に近づくマウスをつくり遺伝のしくみを解明~

Press Release

Selective breeding and selection mapping using a novel wild-derived heterogeneous stock of mice revealed two closely-linked loci for tameness

Yuki Matsumoto, Tatsuhiko Goto, Jo Nishino, Hirofumi Nakaoka, Akira Tanave, Toshiyuki Takano-Shimizu, Richard F Mott, Tsuyoshi Koide

Scientific Reports 7, Article number: 4607 (2017) DOI:10.1038/s41598-017-04869-1

プレスリリース資料

家畜動物の多くは、自ら人に近づく(能動的従順性)性質をもつことがわかっていますが、この性質がどのような遺伝的しくみによってもたらされるのか不明でした。このたび、情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所の松本悠貴(総研大遺伝学専攻大学院生)と小出剛准教授らのグループは、動物が人に近づく行動に関わるゲノム領域を明らかにしました。

本研究では、野生マウス同士を交配させて生まれたマウスの中から人の手を恐れず近寄ってくるマウスを選び、それらをさらに交配させるという選択交配実験を繰り返すことによって、自ら人に近づくマウス集団を作り出すことに成功しました。次に、これらマウスから、人に近づく行動を生み出すゲノム領域を調べたところ、11番染色体上の二つのゲノム領域が重要であることを発見しました。さらに、これら二つのゲノム領域がイヌの家畜化にも影響している可能性を比較ゲノム解析から見出しました。

本成果は動物の家畜化に関わる遺伝の仕組みを明らかにした画期的なものです。これまで家畜化に成功していない多くの動物種に家畜化の道をひらく可能性が期待できます。

本研究は、ロンドン大学のRichard F. Mott博士との共同研究の成果です。

この成果は平成29年7月4日午前10時(英国時間)に英国オンライン・ジャーナル Scientific Reports に掲載されました。

本研究は、科研費(15H01298, 15H05724, 16H01491, 15H04289(代表:小出剛);24658240(代表:後藤達彦)、特別研究員奨励費(代表:松本悠貴)、情報・システム研究機構新領域融合プロジェクトの支援を受けました。

Figure1

選択交配により自ら人に近づくマウスを作成して解析したところ、11番染色体上のゲノム領域が人に近づく行動に重要だった。また、この領域は犬の家畜化に関するゲノム領域と相同だった。