E3リガーゼNEDD4によるNANOS2の分解が精子形成の開始に必須である

発生工学研究室・相賀研究室

NEDD4 controls spermatogonial stem cell homeostasis and stress response by regulating messenger ribonucleoprotein complexes

Zhi Zhou, Hiroshi Kawabe, Atsushi Suzuki, Kaori Shinmyozu & Yumiko Saga

NATURE COMMUNICATIONS. 8, Article number: 15662 (2017) DOI:10.1038/ncomms15662

精子形成は、精子幹細胞が自分自身を維持しつつ,分化細胞を生み出だす非常に高度に制御されたシステムである。我々は以前、精子幹細胞で雄特異的RNA結合タンパク質NANOS2がmRNA-タンパク質複合体として機能し未分化性の維持に寄与していることを報告した(Dev Cell, 2015)。一方、精子幹細胞から分化細胞を生み出すには、このNANOS2を幹細胞から消失させる必要がある。我々は、このメカニズムとして、NEDD4による蛋白質の分解機構が関与することを明らかにした。NEDD4はHECTドメインを持つE3-ユビキチンリガーゼであり、比較的ブロードに発現している。精子形成の誘導にはRAシグナルが関与するが、RAによりNedd4の活性化因子であるNDFIP2が誘導され、その結果としてNEDD4が活性化するようである。NEDD4を精子幹細胞でKOすると、NANOS2が分解されずに維持され、結果として、精子形成が抑制されることが分かった。また、NEDD4はNANOS2のみならず、他のmRNPタンパク質の分解にも関与し、特にストレス顆粒のクリアランスに必須な因子であることが分かった。精巣は高温状態にさらされると直ちにストレス顆粒を作成し、細胞を一時的に不活性化状態に維持する。正常な温度に戻ると、このストレス顆粒は速やかに分解され、細胞は定常状態に移行するが、この時NEDD4がないと、ストレス顆粒がクリアランスされないことが分かった。また我々は、この過程でNANOS2がユビキチン化されることを見出している。したがって、NEDD4を介したmRNPのターンオーバーは精子形成の恒常性を維持する重要なメカニズムである。この研究は、遺伝研ポスドクとして、来日し、その後3年間ポスドクとして活躍したZhou Zhiが中心になって行った。またNEDD4-KOマウスの分与および解析はMax-Plank Insitituteの川辺浩志博士との共同研究である。

Figure1
next »