マウス生殖細胞のオス化の鍵となる仕組みを解明

Press Release

Dazl is a target RNA suppressed by mammalian NANOS2 in sexually differentiating male germ cells

Yuzuru Kato, Takeo Katsuki, Hiroki Kokubo, Aki Masuda, Yumiko Saga

Nature Communications 7, Article number: 11272 DOI:10.1038/NCOMMS11272

プレスリリース資料

国立遺伝学研究所の相賀裕美子教授、加藤譲助教らはマウス生殖細胞のオス化の鍵となるタンパク質Nanos2が働く仕組みを明らかにしました。

ヒトを含め哺乳動物が子孫を残すためには、精子と卵子を作り出すことが必要です。精子も卵子も元は始原生殖細胞という未分化な細胞に由来していますが、生まれる前に、将来精子を作るか卵子を作るかの運命が決まります。この時、生殖細胞のオス化の鍵となるのがNanos2タンパク質です。Nanos2はメッセンジャーRNA(mRNA)に結合し、タンパク質への翻訳を抑制することが知られていました。しかし、Nanos2がどのmRNAを抑制し、オス化に関わるのか長い間謎でした。

今回の研究ではNanos2によって抑制されるmRNAを特定したことにより、世界で初めてNanos2による生殖細胞のオス化の仕組みを明らかにすることに成功しました。

ヒトと同じ哺乳動物であるマウスにおけるオス化の仕組みの解明はヒトの男性不妊の原因解明や、治療法の確立に繋がることが期待される基盤的な知見となります。

本研究成果は、平成28年4月13日(グリニッジ標準時)に英国オンラインジャーナルNature Communications に掲載されました。

今回の研究は国立遺伝学研究所 系統生物研究センター 発生工学研究室の加藤譲助教が中心となり、Kavli Institute for Brain and Mind, University of Californiaの勝木健雄博士との共同研究により行われました。また、この研究は科学研究費補助金若手B (25840091)、基盤S(21227008)の支援により行われました。

Figure1

(A)精巣に入った生殖細胞でのみNanos2が働き、生殖細胞に雄としての性質が備わる。遺伝子破壊によりNanos2タンパク質が働かなくなると、雄としての性質が備わらず、細胞は死んでしまう。
(B)Nanos2タンパク質によるDazl遺伝子機能の抑制モデル。